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twinrailの海外鉄道旅行記録

金正恩も現地指導した平壌地下鉄の新型車両に乗る 朝鮮平壌開城巡検 01-08

朝鮮の外国人観光客は基本的に貸切車で移動するため、地下鉄に乗車する機会は少ない。それでも豪華絢爛な駅ホームは観光コースに必ず組み込まれている。

平壌市民の足、平壌地下鉄の乗車レポをお伝えする。

訪問日: 2016年3月9日

平壌地下鉄の基礎知識

平壌地下鉄は2路線ある。ラインカラー赤の千里馬(천리마)線と、ラインカラー緑の革命(혁신)線である。千里馬線は復興(부흥)駅から赤い星(붉은별)駅、革命線は光復(광복)駅から楽園(락원)駅を結ぶ。ちなみに、駅名と地名は一切関係なく、「革命的」な名前がついているだけである。なぜこんなわかりづらい駅名に……。

外国人観光客の観光コースは、千里馬線の復興駅から凱旋(개선)駅である。これ以外の区間も一応乗車できるらしいが、事前に十分な調整が必要らしい。想像するに、特段秘密があるとかそういうわけではなく、前例のない旅程をやりたがらないとか、駅前に十分な駐車スペースがないとか、そういうしょうもない理由のような気もする。

ちなみに、意外な話かもしれないが、平壌地下鉄ソウル地下鉄より先に開業している。(平壌が1973年、ソウルが1974年。)

 

復興駅から乗車する

バスで復興駅に到着する。地下駅だが地上に立派な駅舎があり、入口の上に金日成金正日が「現地指導」したという銘板がある。それも観光ルートの一つになっている理由かもしれない。

 

とはいえ、内部はかなり殺風景だ。古めかしいIC改札機が並び、奥のエスカレータに粛々と乗客が流れ込んでいくのみである。改札機脇には若い女性の駅員が常駐している。

 

エスカレータは気が遠くなるほど長い。高低差は60~70m程度、長さは100~110m程度あるらしい。長すぎてたまにエスカレータに座り込んでいる人もいる。

 

平壌地下鉄の目玉といえば、やはりこの豪華絢爛なホームだ。線路は右側通行である。ここ復興駅は始発駅であるから、左側が到着ホーム、右側が出発ホームとなっている。

 

ホームには労働新聞が掲示されており、読んでいる人も多い。

 

駅員はホームも若い女性が多い。

 

路線図もある。最初に書いた通り、駅名だけでは平壌市内のどこなのか全くわからないため、副駅名も記されている。

 

ボタンを押すと光る機能もある。この機能いるのか?

 

車両は基本的にD型と呼ばれるベルリン地下鉄の中古車である。本国ドイツではほとんど見る機会がなくなってしまった車両だけに、かなり貴重な光景かもしれない。

 

平壌地下鉄の新型車両に乗車する

そして今回の目的がこちら、新型車両の「地下電動車1号」である。

 

2016年1月1日に運行を開始したばかりで、乗車当時の3月9日時点でも多くの乗客が物珍しそうに眺めていた。この車両にも金正恩が「現地指導」したという銘板が掲げられている。

 

車内には液晶案内板があり、乗換案内も充実している。トロリーバスの案内まで出ているのはかなり親切だ。

 

夕方のラッシュ時間帯なだけあって、車内は非常に混雑していた。ドア脇にも液晶画面があり、アニメ映像などを放映している。優先席もある。

 

凱旋駅で下車する

凱旋駅に到着する。装飾は簡素だが、金色の金日成像がホーム端にあるのが印象的な駅だ。

 

この駅も乗客は多く、平壌地下鉄が老若男女に利用されている市民の足であることがわかる。

ところで駅のホームの先頭にはタイマーが表示されている。おそらくは前の列車との運行間隔が表示されている。モスクワ地下鉄などでも見られるタイマーで、同じような運行システムを使っているのではないだろうか。

 

駅ナカの書店。子供向けの書籍が多めらしい。

 

エスカレータを昇り、駅舎まで上がってくる。凱旋駅も駅舎はかなり殺風景だ。

 

駅の外に出る。時刻は18時半となり、かなり暗くなってきた。当駅には金日成金正日金正恩の三世代の「現地指導」の銘板がある。

 

凱旋駅の名前の通り、駅前には凱旋門がある。高さ60mの威容を誇っている。

 

駅前には常設の軽食スタンドもある。平壌では屋台などをほとんど見かけないので、珍しい光景である。

 

平壌の夜

夕食のためレストランへ向かう。

 

今回は水餃子・フライドポテト・焼きそば・チヂミなど、割とベーシックな料理である。大同江ビールがデカいジョッキで来るのでうれしい。

 

ホテルに戻る。

 

平壌の夜は暗い。ホテルの窓から夜景を撮ると、降るような星空が写った。

 

明日は平壌市内の観光である。

つづく。