twinrail.log

twinrailの海外鉄道旅行記録

中国国鉄唯一のナローゲージ・昆河線に乗車する 中国雲南巡検 20-01

中国国鉄の鉄道網は標準軌で建設され中国全土に縦横無尽に張り巡らされている。

そんな中取り残されたたった一つのナローゲージ雲南省昆明に存在していた。

訪問日: 2017年6月13日

関西空港から出発する

横浜に住んでいる私は、普段は羽田空港や成田空港を使うが、今回は珍しく関西空港から出国することになった。

出国前に時間があるので、無料バスに乗って展望ホールに行くことにした。

関西空港の展望デッキは、ターミナルから結構離れた所に位置している。

関西空港連絡橋も近い。りんくうゲートタワービルもよく見える。

滑走路が間近にあり、離着陸する飛行機がよく見える。

成都から四川航空の機体が着陸してきた。折り返し、私が乗る便になるであろう。

関西空港に戻ってきた。ここからの出国は初めてである。

四川航空で大阪から成都

四川航空の3U8088便に搭乗する。関西空港を20:25に出発する。今回関西空港から出発した理由は、四川航空が成田~成都便と関西~成都便をほぼ隔日で交互に運航しており、スケジュール的にやむを得ず関西発の日に出発することになったからである。

機内食は日本から積み込むので、割と慣れた味がする。中国系の航空会社らしくジャスミン茶のサービスがあった。それとは別に、ふかした芋を配るサービスもあった。なんで?

5時間ほどのフライトののち、成都双流空港に24:10に到着した。

……ただ実のところ、機内で体調が悪くなり、熱っぽくなっていた。検疫でサーモカメラで体温を測っていたところを素知らぬ顔で通過したが、見事に別室行きになった。

幸いにも軽い風邪ということで書類だけ書いてそのまま入国できたが、危うくそのまま日本に帰ることになるところだった。

ちなみに元々空港で寝る予定だったが、この体調では耐えられないので、急遽近くのホテルにチェックインした。一晩寝たらものすごい汗をかいた後に回復した。

コロナ禍を経た現在、検疫はより厳しくなっているだろうと思う。私の場合は機内で喉を痛めたのが良くなかったらしい。皆さんもくれぐれも気をつけてほしい。

四川航空で成都から昆明

そんなわけでなんとか回復し、翌朝再び成都空港に戻ってきた。

四川航空の3U8661便に搭乗する。成都双流空港を07:20に出発する。

昆明長水空港に09:00に到着した。中国南西部最大の空港である。

空港からエアポートバスの西部客運専線(西部客运专线)に乗車する。

バスは昆明西部バスターミナル(西部汽车站)に向かう。

1時間ほどで西部バスターミナルに到着した。

雲南省各地に向かうバスが大集合している。

ナローゲージの昆石線に乗る

国鉄道はほぼ全線が標準軌(軌間1435mm)だが、唯一雲南省昆明には狭軌(1000mm)の旅客列車が残っている。元々は当時フランス領インドシナハノイから昆明まで、フランス政府が1910年に開通した「滇越鉄道」に由来する。

いくつかの支線があったが、2017年時点で旅客営業をしていたのは、昆河線(昆明北駅〜王家営駅)と昆石線(昆明北駅〜石咀駅)の2系統だけであった。

なお、私が乗車したわずか半年後、2017年12月に運行を停止しており、2023年現在も復活していない。

西部バスターミナルからまずは石咀駅を目指す。昆石線の線路は地元の人の歩道として使われていた。


View Larger Map

石咀駅に到着すると、昆明北駅からの列車がやってきた。駅員がフライ旗で合図をしている。

昆明北からの乗客が降りてきた。多くが子供連れの家族だった。純粋な移動手段として乗っているというよりは、アトラクションとして乗っているかのような感じだった。

東方紅(东方红)21型ディーゼル機関車が牽引する。

機関車の付け替え作業を行う。

折り返し8866列車、昆明北行き普慢として運行する。石咀駅を11:51に出発する。

客車の最後尾から線路が展望できる。

客車の中は2+2の4列ボックスシートだった。標準軌の車両は2+3の5列シートなので、1列少ない。

一応洗面台もある。使えるかは不明だが……。

きっぷは車内で発行してもらった。中国でも今どき補充券は珍しいと思う。

列車が出発し、いくつかの駅に停車していく。近代的な昆明の街中をレトロなミニ列車が走っていくのは面白い。


View Larger Map

昆明北駅に12:43に到着した。市内のわずかな距離を1時間もかけて走る列車が未だに残っているのだった。

昆明北駅の駅舎はいかにもフランス風の歴史ある建築、のように見えるが特にそういうわけではなく、最近建てられたものらしい。

列車の時刻表は列車にも駅にも掲示してあった。しかしポスターごとに列車の時刻が違う。どれが正解なんだ?

次の王家営行きの列車まで時間があったので、昆明北駅に併設された雲南鉄路博物館を見学する。そちらは次の記事で詳しく紹介する。

もう一つのナローゲージ昆河線に乗る

博物館を見てもあまりにも時間が余ってしまったので、昆明北駅のカフェでゆっくりしていた。

ソファもありゆっくりと過ごせた。コーヒー1杯で40元(約800円)ぐらいしたが、この環境を考えたら全然いいと思う。

茶店を出てホームに行く。昆河線の普慢8869列車、王家営行きに乗車する。昆明北駅を16:50に出発する。

こちらの列車は午前中に乗ったものに比べると乗客は少なかった。

途中駅を通過する。黒土凹(黑土凹)という変わった駅名だった。中国語読みだと「ヘイトゥーアオ」(Heitu'ao)になる。こんな小さな駅にもしっかりと駅員が立ち番をしていた。


View Larger Map

1時間ほどで終点の王家営駅に17:58に到着した。

機関車の切り離しを行う。

ごく普通の駅舎だった。

さて、問題は王家営駅から昆明中心部への帰り方である。折り返しの列車に乗ってもいいのだが、折り返しに1時間、さらに昆明北駅まで1時間、加えて中心部まで30分かかる。往路と同じ行程だし、あまりに時間がムダであるので、近くの路線バスの停留所まで歩いていくことにした。

……しかし、停留所まで辿り着いてもバスが一向に来ない。中国の路線バスは時刻表もないからいつ来るのかもわからない。日も暮れてきて、もう終バスも行ってしまったのだろうかと不安にかられていた。

そんなとき、近所のおじさんが「バイクで送りましょうか」と声を掛けてきた。ありがたくバイクに2人乗りさせてもらったが、私の分のヘルメットがない。おじさんは時速80kmで爆走していくが、ここでコケたら私の命はここでおしまいだなと思っていた。

ちなみに、2017年当時はあまり普及していなかったが、現代の中国では都市内ならアプリですぐにタクシーに来てもらえる。命を大事にしよう。

昆明地下鉄に乗る

王家営駅から5kmほどの距離をわずか5分ほどで移動し、昆明地下鉄1号線の春融街駅に到着した。

先程の王家営駅に比べると遥かに近代的である。一気に時計の針が50年進んだようだ。

無事に地下鉄に乗り、昆明駅に向かうことができた。

昆明駅でディコス(德克士)のチキンフィレサンドを食べる。昆明のレトロな部分とモダンな部分を両方堪能した一日だった。

なお、先にも書いた通り、昆明ナローゲージは、2023年現在は運行していない。再び復活する日があったらぜひ乗りに行ってほしい。

つづく。