中国雲南省昆明には、中国有数の鉄道博物館である「雲南鉄路博物館」(云南铁路博物馆)がある。
雲南の独特の鉄道の歴史を紐解いていきたい。
訪問日: 2017年6月14日
雲南鉄路博物館の解説展示を見る
雲南鉄路博物館の特徴は、中国の大多数の鉄道とは全く違う雲南の鉄道の歩みを紹介していることだと思う。
雲南の鉄道は中国の他の地域からではなく、1910年にフランス領インドシナ(現在のベトナムほか)から「滇越鉄道」という狭軌(メーターゲージ)でやってきた。
往時の時刻表なども展示されている。
さらに、かつては昆明とハノイとの間に狭軌の国際列車が走っていた。中国の他の地域には鉄道で行けないのに、ハノイへは列車で行けたのである。
そんな昆明もやがて中国の鉄道網に組み込まれて行くようになる。1966年には昆明駅が標準軌で中国の他の地域と接続され、やがて北京や上海までの直通列車が走るようになる。
現在は昆明にも高速鉄道が開業した。昆明の狭軌旅客路線は2023年現在、運行を停止している。
狭軌路線の一部は観光鉄道として復活している。
紅河自治州の建水県にある建水古城では、わずかな区間ではあるが観光用の列車が運行されているという。
私もいつか乗りに行ってみたいと思う。
雲南鉄路博物館の車両展示を見る
博物館の車両展示を見ていく。多くの車両があるため全部は紹介できないが、私が特に気になったものを見ていきたい。
ST774型蒸気機関車。1948年からミャンマー鉄道で使われ、2006年に中国に寄贈されたという。
高速列車「春城号」。1999年に昆明と石林の間で使用されていたという。
フランス・ミシェラン製のディーゼルカー。1914年に運転を開始し、1932年にゴムタイヤに交換されたという。なかなか奇妙な車両だと思う。
KD55型蒸気機関車。1897年に日本の川崎造船所(川崎車両)で製造され、1958年から1985年まで雲南で活躍していた。日本の9600型蒸気機関車と同形式だと思われる。
雲南の鉄道は、フランスがメーターゲージで建設し、やがて中国のスタンダードゲージの鉄道網に取って代わっていたという、一風変わった歴史を持っている。雲南鉄路博物館でその歴史の魅力を感じてみてほしい。
つづく。