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twinrailの海外鉄道旅行記録

ラサのポタラ宮とチベット寺院を観光する 中国チベット巡検 17-03

ラサは中国・チベット自治区の首府であり、チベット仏教の中心地である。

その象徴であるポタラ宮を目指した。

訪問日: 2016年8月30日

ラサでチベット料理を食べる

夕方、ラサ駅で我々を迎えてくれたのは、チベット措吉白瑪国際旅行社(西藏措吉白玛国际旅行社)のガイドだった。日本語を流暢に操る40~50歳ぐらいのチベット人の中年男性で、旅行社のわりと偉い人らしい。

元々は費用を節約するため、ドライバーなしで路線バスでよいということだったのだが、いざ当日になってみたらドライバーと専用車が用意されていた。「渋滞が多いので専用車があったほうがいいです」「ドライバーに直接支払ってもらえれば安く済むので……」ということで、結局ドライバーも付くことになった。

結果から言えば、これは正解であった。ラサの街は公共交通が貧弱すぎて、渋滞が多すぎるのである。

そんなやりとりがありつつ、チベット最初の夕食に案内された。いかにもチベットな内装で期待が高まる。

出てきたのはカレーだった。日本のインド料理店、正確に言えばネパール人が作っているインド料理店のカレーとそっくりである。

実際、ここラサはネパールから500km程度しか離れていない。食文化が相互に影響しているのかもしれない。

ノルブリンカを観光する

翌朝、再びガイドとドライバーと合流する。

まずは世界遺産のノルブリンカ(ནོར་བུ་གླིང་ག、「宝石の園」)を見学する。18世紀に建設された、チベットの夏の離宮である。


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元々は離宮であるが、現在は公園(有料)として公開されている。8月という季節もあって、至る所が色とりどりの花に彩られていたのが印象的だった。

ラサの路線バスを撮影する

昼食の時間になり、大衆食堂に案内される。

トゥクパ(ཐུག་པ)と呼ばれるチベット風の羊肉の入った麺料理を食べた。ちょっと辛かったがおいしかった。

奥に見える飲み物はプージャ(བོད་ཇ་)と呼ばれるチベット風のバター茶である。日本人にはけっこう好みが分かれる味だと思う。残念ながらこちらは私の口にはあまり合わなかった……。

後述のセラ・ゴンパの見学のため移動する。しかし、時間が合わないという理由で近くのレストランでしばらく待機することになり、2回目の昼食が始まった。さっきトゥクパを食べたばかりだというのにまた山盛りの料理が出てくる。なぜ???

それでも時間が余るので、レストランの前を走る路線バスを撮影することにした。「路線バスを撮りに行きます」と伝えると、ガイドは何をしに行くのかよく分からないような顔をしていた。

セラ・ゴンパを見学する

というわけで、セラ・ゴンパ(སེ་ར་དགོན་པ、「野バラの僧院」)にやってきた。


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セラ・ゴンパはラサの市街地の北の端、チベットの山々が迫る位置にいる。

寺院の境内の中を歩く。

大きなマニコロ(མ་ཎི་འཁོར་ལོ་、「マニ車」)もある。

ここセラ・ゴンパの目玉が、修行僧による禅問答である。日々公開討論が行われおり、一般の観光客も見学できる。このスケジュールに合わせて先程は時間調整していたのである。今回は14時からの回を見学した。

庭の中に修行僧が集まり、禅問答が始まる。大きな声と大仰な身振りを交えて、まるでパフォーマンスのように討論が繰り返されていく。仏教哲学もチベット語も全く分からなくても、その迫力だけで圧倒される。

ところで、この公開討論は、明らかに観光客でも警備員でも僧侶でもない謎の人物が数人で監視を行っていた。詳細は全く不明だが、日本で言うところの「公安の私服警察官」の風体にそっくりだったと思う。

ジョカンを拝観する

ジョカン(ཇོ་ཁང།)は、ラサの中心部にあるチベット仏教の寺院である。


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周囲は広場になっており、ラサの旧市街地の中心を構成している。

タルチョ(དར་ལྕོག་)と呼ばれるチベットの祈祷の旗が結ばれている。

チベット巡礼の目的地の一つになっており、多くの巡礼者が五体投地で祈りを捧げている。

ジョカンの中に入って参拝する。

ジョカンの屋上から広場の全景が見渡す。

奥にポタラ宮が見える。こちらは後ほど見学に行く。

別の方角に目を向けると、チベットの青空と緑の山々が見えた。

市街地でお土産を買いに行く。チベット風の建物に、五星紅旗と呼ばれる中国の国旗がこれでもかと掲げられている風景は、現代のチベットを象徴しているかのようである。

私は手持ちのマニコロ(マニ車)を購入した。友人はチベットの民族衣装を仕立ててもらっていた。

歩道橋からラサの大通りを見下ろす。

ガイドとはここで別れることになった。北朝鮮と違って、チベット自治区はガイドが必須と言いつつも、自由行動もある程度認められているようである。

ポタラ宮を拝観する

翌朝、チベット人の別のガイドがやってきた。ずいぶん若い男性だなと思ったら、なんと19歳だという。当時23歳の私より若いガイドが来るとは思わなかった。流暢な日本語を喋るが、これはチベットの大学に来ていた日本人留学生に教えてもらったのだという。

いよいよ、今回の旅の最大の目的、ポタラ宮(པོ་ཏ་ལ་ཕོ་བྲང​​)に来た。ダライラマの宮殿にして、チベット仏教ガンデンポタン(チベット政府)の象徴でもある。


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たくさんのチベット人巡礼者と、同じくたくさんの中国人観光客を横目に、ガイドとともに何らかの手続きを経て入場する。中国の有名観光地はこのように外国人の入場手続きが面倒なことが多々あるため、こういう時はガイドがいたほうが心強い。

残念ながら、内部は撮影禁止であったため、写真がない。ガイドにはいろいろと解説してもらったが、私自身が仏教に詳しくないのであまり覚えていない。しかし、ここがチベット人の信仰にとっていかに重要なものであるかを、自らもチベット人であるガイドから熱量を持って語ってもらったことはよく覚えている。

ポタラ宮の前にはポタラ宮広場という空間がある。チベット平和解放記念碑(西藏和平解放纪念碑)が建てられ、中国の国旗が翻っている。中国のどこの都市にもあるような中国的な広場が、チベットの象徴であるポタラ宮と対照をなしていた。

四川航空でラサから東京へ帰る

ポタラ宮を観光したあとは、ラサ空港に向かう。

ラサ市街地からラサ・ゴンカル空港へは50km以上も離れている。ラサ市街地がラサ川の峡谷に位置するのに対し、ゴンカル空港は山脈を一つ挟んだヤルツァンポ川の峡谷に位置しているためである。

市街地から空港に行くだけで、チベット大自然の真ん中を通り抜けていく。

ラサ空港に到着した。ガイドとはここでお別れになる。

ラサ空港はチベットの玄関口ということもあって、多くの客で賑わっていた。

四川航空3U8696便、ラサ空港15:30発、成都空港17:30着に搭乗する。成都で一泊することになる。

翌日、再び成都双流空港にやってきた。

四川航空3U8085便、成都空港12:35発、成田空港17:55で帰国した。

世界最高所の絶景鉄道である青海チベット鉄道に乗車し、チベット仏教の聖地であるポタラ宮に巡礼した。今までの中国渡航の中でも、最も印象的かつ鮮烈に記憶される旅行だった。

同時に、チベット旅行の面倒さと高額さを実感し、そしてチベットの現状を目の当たりにした。たった3日間だけ滞在していた旅行者に、チベットの実情のすべてがわかるわけではない。しかし、私が体験したチベットの姿の片鱗が、読者の皆様に少しでも伝わればいいと思う。

おわり。