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twinrailの海外鉄道旅行記録

青海チベット鉄道に乗車して絶景の車窓を見る 中国チベット巡検 17-02

青海チベット鉄道(青藏铁路)は、西寧とラサを結ぶ全長1956kmの路線である。

また、標高5072mを通過する世界最高所の鉄道でもある。

訪問日: 2016年8月29日

西寧駅から青海チベット鉄道に乗車する

西寧市街地で時間を潰した後、西寧駅へやってきた。

西寧駅は2014年に改装されたばかりで、都市の規模の割にはメチャメチャ大きい。

鉄道駅の横にはバスターミナルも位置している。

西寧駅に着いた時には小雨が降っていた。

駅の中に入る。こちらもメチャメチャ広い。

駅のきっぷ売り場でラサ行きのチケットを引き換えようとしたところ、「許可証(入藏函)見せてください」と言われた。やはりチベットへは無許可で行くことはできないようだ。

駅の電光掲示板に「運休」(停运)の文字が見えたので心臓が止まりかけたが、我々が乗るZ265列車はちゃんと運行するようだった。なぜこんなに運休が多かったのかはよくわからない……。

青海チベット鉄道(青蔵線)のZ265直達列車に乗車する。西寧を19:51に出て、終点のラサには翌日17:30に到着する。22時間に及ぶ旅が始まる。

今回は硬臥(3段寝台)を選んだ。

ところで、このZ265列車は、はるか遠く広州からやってきてラサに向かう、走行距離4980kmに及ぶ中国国内最長の列車でもある。しかし、見たところ西寧では誰も乗っておらず、始発であるようだった。どういうことだろうか?

そう思っていたら、隣のホームにもZ265と書かれた列車がやってきた。この列車はここが終点であるようで、乗客全員がこちらの列車に移動してきた。

要するに、広州からラサに行く列車の乗客は、西寧で別の車両に乗り換えることになっているのである。

なぜそんなことをしているのか?それは実際に列車に乗ってみてわかった。

青海チベット鉄道は標高5000mを超える高山地域を走行する。

運行している25T型客車も、青海チベット鉄道専用の車両が使われている。(チベット語の表記があることからもわかる。)

この車両には気密性や酸素の供給装置など、高山用の特殊な設備が備わっている。

……すなわち、そんな青海チベット鉄道専用の特殊車両を、広州〜西寧〜ラサの全区間で走らせるのは車両の運用の効率が悪い。そこで、広州〜西寧は通常の車両、西寧〜ラサは専用車両と使い分けているのである。

チベット高原を走る

西寧を出ると車窓は真っ暗だったので、すぐに眠った。

一晩経ち、朝を迎えると、列車は青蔵高原の人里離れた荒野の中を進んでいた。

カーブで先頭の機関車が見える。ゴルムド駅で高山仕様のNJ2型ディーゼル機関車に取り替えられたようだった。

あたり一面、草原が広がる。

既に高度は4000mを超えているが、高原が広がり、日本の山のような感じは全くしない。

大河を越えた。

少しずつ晴れてきた。

湿原が広がり、陸と水の境界が曖昧になる。

チベット鉄道の車窓は自然だけではない。ときおり青海チベット道路(青藏公路)が見え、トラックやドライブインチベット仏教の旗・タルチョなどが見える。

厳しい高原の自然の中にも、人々の暮らしが根づいていることが感じられる。

小さな町も時々見られる。

道路を走る車もほとんどが大型トラックである。2000km近く大都市のない道路をひたすら走っているのだろう。

ところで、標高4000mになると「空が近い」という印象を受ける。

とにかく空の彩度が高く、日差しが強いのである。

鉄道世界最高所・タングラ駅を通過する

さて、この路線は青海省チベット自治区の境界にあるタングラ峠で、標高5072mという鉄道の世界最高所を通過する。付近にはタングラ駅が位置し、ここが世界一標高が高い駅である。

しかし、列車は意外なほどアッサリと通過していった。

特にアナウンスも何もなかった。この列車は単なる観光列車ではなく、中国"内地"とチベットを結ぶ実用的な列車なのだと感じる。

青海チベット鉄道は単線である。そのため、人家の全く無いところでも、交換や保守その他の業務のために、日本で言えば信号場に該当するような旅客扱いをしない駅が数十km間隔で設置されている。

食堂車でできたての弁当が車内販売でやってきた。特にチベット料理とかではなく普通の中国料理だが、おいしいのでよい。

チベットの絶景を眺める

ところで標高5000mを超えると、当然ながら高山病になる。起きている時はそうでもないが、寝ていると酸素不足で起きてしまうのである。

列車がチベット自治区に入ると、ますます人家は少なくなり、代わりに自然はますます壮大になってきた。

ヤクが草を食んでいる。

青空、雲、草原、羊。チベットの大地にはそれ以外何もない。

そしてとにかく空が高い。正に世界の屋根を走っているのである。

ヤクが草を食んでいる……。

ラサが近づくと少しずつ景色が険しくなってきた。

山の中に入ると、むしろ人家が増えてくる。

ラサの近郊に入って、少しずつ都会になってきた。この写真だけ見ると田舎そのものなのだが、一日中人家のない世界を見てくると、これでも都会に見える。

ラサ駅に到着する

そして、17:30、終点のラサ駅に到着した。

ホームはメチャクチャ広い。

駅に到着すると、外国人と分かるやいなや別室に連れて行かれた。別室では我々のガイドが待機していて、市街地へと連れて行ってくれた。

次回はラサ市内の観光をする。

つづく。