中国・南寧とベトナム・ハノイを一晩で結ぶ国際寝台特急が運行していた(新型コロナの影響で2023年現在は運休中)。
この列車で中国からベトナムへ移動した。
訪問日: 2016年12月3日
南寧発ハノイ行き国際列車のきっぷの買い方
中国・ベトナム間の国際列車は、中国鉄道でもベトナム鉄道でも公式サイト上からは予約できない。原則として、出発国の旅行会社に購入を依頼する必要がある。
今回はチベット旅行でもお世話になった「ふれあい中国」にて購入した。日本語でメールのやり取りができるし、ホテルに配送してくれるので受け取りも楽である。
後ほど述べるように、中国側から乗る場合は南寧駅でも購入できる。
南寧駅でハノイ行きのきっぷ売り場を見る
北京西始発のZ5列車で南寧駅に到着した。南寧駅前は地下鉄の工事中である。
先ほど、国際列車のきっぷはネットから旅行会社に注文したと書いた。それ以外にも南寧駅のきっぷ売り場でも購入ができる。
南寧駅のきっぷ売り場の左端の1番窓口が英語対応と書いてあり、国際列車のチケットを売っているようである。実際には使わなかったので、英語が通じるのかは不明であるが……。
ただし、直前に買おうとすると満席だったという報告もあるので、多少割高でも旅行会社に依頼して購入しておいたほうがよいと思う。
こちらが中国・南寧とベトナム・ハノイを結ぶ国際列車のきっぷである。冊子の形で綴じられている。
2枚めが乗車券にあたる。
3枚めが寝台券にあたる。いずれも南寧(Nanning)発、憑祥(Pingxiang)経由、ハノイの嘉林(Gialam、ザーラム)着と書いてある。
南寧駅からハノイ行き国際列車に乗る
国際特快列車、T8701に乗車する。列車は南寧から中国鉄道湘桂線とベトナム国鉄ドンダン線を経由してハノイ・ザーラムに至る。
南寧駅を18:05に発車する。ベトナムまで直通する車両は、全ての車両が2段寝台(軟臥)である。ちなみにこの列車担当の乗務員はある程度英語が話せた。さすが国際列車である。
ホームに降りると、中国の国章入りの車両が現れた。中国語とベトナム語で行き先が表示されている。
DF4D型ディーゼル機関車が牽引する。
部屋に入る。軟臥と呼ばれる2段寝台4人個室である。
他人と相部屋になるシステムだが、今回は複数人で行ったので一部屋貸し切れた。なかなか快適だった。
国際列車らしく、中国語に加えてベトナム語が表記されている。
寝台引き換え券にもベトナム語が書いてある。寝台車に乗ると、車掌からきっぷと引き換えにこの券を渡され、下車駅直前でまた車掌がきっぷと交換しに来るというシステムである。寝過ごす心配がない、やさしいシステムである。
ところでこの列車、食堂車がない。それどころか、まともな車内販売もない。車掌に「なにか食べるものないですか」と聞いたら「カップ麺ならあります」と言って段ボール箱を取り出してきた。夕食は食べてきてから乗ろう。
憑祥駅で中国から出国する
中国最後の駅、憑祥(凭祥)駅に22:10に到着する。ここで一旦全員下車し、駅舎で出国審査を受ける。マシンガンを構えた武装警察が何人も立っており、物々しい雰囲気だった。そのため写真はあまりない。
1時間半ほどで全員の出国検査が終わり、列車は23:41に発車した。
ドンダン駅でベトナムに入国する
中国ベトナム国境をゆっくりと越える。時間が1時間戻り、ベトナム最初の駅、ドンダン(Đồng Đăng)に23:22に到着する。ここから列車番号はMR2に変わる。
駅舎に入り入国審査を受ける。こちらは中国と違ってゆるい雰囲気だった。
ここで問題が起こる。日本人はベトナムへの短期観光入国には、基本的にビザが不要である。しかし、空港ではなく陸路からというちょっと変わった入国をするので、"念のため"同行者全員が観光ビザを取得していた。だが、これが面倒な問題を生むことになってしまった。
列車がドンダン駅に到着したのは12月3日の23:22である。だが、発車するのは日付を跨いだ12月4日の01:55である。私も同行者も12月3日開始のビザを発行していたが、一人だけ12月4日のビザを発行していたのである。
入国審査の列の一番最後に並び、時計が0時を回ったことを確認してから窓口に向かったのだが、係員からは「12月3日開始のビザじゃないとダメですねえ…」と言われてしまった。
私も加勢して「既に12月4日になっているのだから何も問題はない」「例えビザが無効でもそもそも日本人はビザが不要である」と話した。ただ、結局は入国審査官から「こちら側で12月3日開始に訂正しますので……」と言われて事なきを得ることになった。
無事入国できたからよいものの、未だに12月4日開始のビザではダメな理由もよくわからない。いずれにせよ、日本人は短期観光ならばビザ不要なので、わざわざビザを発行しなくてもよいと思う。(※詳しくは大使館等のウェブサイトを見てほしい。)
そんなこともあったが、1時間ほどで全員の入国審査を終えた。しかし、駅の停車時間は2時間半もある。特にすることもないので部屋に戻って寝る。
ドンダン駅のきっぷ売り場。2016年当時は国内区間のみの列車もあったように思う。2023年現在は国際列車は運休し、国内のみの列車もなぜか運休しているようなので、おそらくは営業していないと思われる。
ハノイ・ザーラム駅に到着する
ハノイ郊外のザーラム(Gia Lâm)駅に05:30に到着した。
暗くて何も見えない中、旅行社のガイドが迎えに来てくれた。
南寧からハノイの国際列車は、端的に言えば一般の旅行客にとってはあまり有用ではないと思う。300km今日の距離を11時間もかけて移動するのはあまりに遅いし、深夜に出入国審査をするのも面倒である。
ハノイはともかく、南寧に用事のある一般の旅行客はあまりいないであろうから、広州なり香港なり目的地と直接飛行機で移動したほうが早くて安いだろう。
とはいえ、この記事を読んでいる人はだいたい一般の旅行客ではないから問題ないだろう。運行が復活したら乗りに行くといいと思う。
つづく。