twinrail.log

twinrailの海外鉄道旅行記録

ハルビンから寝台列車で丹東へ 朝鮮平壌開城巡検 01-03

中部空港で税関に検査されつつも、無事に飛行機に乗ってハルビンに着陸した。しかし、朝鮮への入口である丹東までは南に700km移動しなければならない。

慌ただしい朝鮮旅行前の、のどかなハルビンの散歩の記録。

訪問日: 2016年3月7日

春秋航空で名古屋からハルビン

早朝。税関の検査を終え、搭乗口へ向かう。今回利用するのは春秋航空というLCCの9C8618便である。中国からの訪日観光が最盛期を迎えていた当時、早朝07:45発というやや不便な時間帯の便であっても、機内は中国人観光客で満席であった。

ところで、春秋航空のほかに、スプリングジャパン(旧・春秋航空日本)という航空会社もある。春秋航空は中国のLCCだが、スプリングジャパンは春秋航空日本航空が共同出資している日本のLCCである。両者ともに日本・中国間の航路を運行していた。(※2023年2月現在は新型コロナウイルスのため運休中。)

スプリングジャパンは本当にごく普通の日本のLCCだが、春秋航空はそうではなかった。シートベルト着用サインが外れると、なんと乗務員による免税品の啖呵売が始まった。筑波のガマの油売りや門司のバナナの叩き売りのように、客室乗務員が流暢に口上をまくしたてながら化粧品や健康器具を機内販売していく。映画や音楽などがないLCCなりのエンタメなのだろうが、かなり限界の部類だと思う。

 

ハルビンを観光する

ハルビン太平空港に定刻10:30に到着する。冬のハルビンは非常に寒く、零下20度近くにもなると聞いていたが、当日は零下2,3度程度だった。冬の新千歳空港とあまり変わらない。

 

空港バス1系統に乗ってハルビン駅へ移動する。ハルビン駅は我々が訪れたあと、2017年に改装され非常に綺麗な駅になった。しかし、2016年当時は旧駅舎の終末期で、写真のとおり見るからに古かった。

これから丹東へ移動するのであるが、寝台列車に乗ることになるため、出発は夜になる。それまでの時間つぶしとしてハルビン市内を観光することにした。

 

ハルビンでおそらく一番有名な名所がこの聖ソフィア大聖堂である。ロシア正教会の聖堂であるが、1958年以降は教会としては使用されておらず、現在はハルビン建築芸術館になっている。ハルビン駅からは徒歩15分ぐらいである。

 

聖ソフィア大聖堂からさらに20分ぐらい歩くと、松花江に辿り着く。ハルビン市人民防洪勝利紀念塔は、1957年の松花江の洪水を防止した記念として建てられたランドマークである。

 

松花江沿いの一帯はスターリン公園という市民の憩いの場になっている。

 

松花江は凍結しており、氷の上でスケートやそりをしている人もいた。ただ、ところどころ氷が薄そうなところもあったので、本当はやめたほうがいいのかもしれない。

 

ハルビンといえば鉄道の街であると同時にビールの街でもある。近くにはハルビンビールのビアガーデンもあり、鉄道施設がいくつか残されていた。写真内に見える「1896」はロシア帝国が東清鉄道の敷設権を獲得した年、すなわちハルビンという都市の始まりの年である。

 

そのような歴史的経緯から、ハルビンはロシアとのつながりが強い。特に尚志大街(尚志大街)はロシア風の建築が連なり、ハルビン最大の繁華街になっている。夕暮れ時にはイルミネーションも輝き、欧州の街のような雰囲気だった。

 

寝台列車ハルビンから丹東へ

夜になり、ハルビン駅前に戻ってくる。寝台列車の乗車前にカップ麺などを買い込み、駅に入る。今でこそ中国鉄道もチケットレスになり、駅の窓口に列ができることも少なくなった。だが、2016年当時はまだまだ窓口に長蛇の列ができていることも珍しくなかった。もっとも、列の回転は日本より早く、写真にあるように20人待ちぐらいならば、待ち時間も20分程度で済んでいた。

 

ハルビン駅といえば伊藤博文安重根に銃撃された地としても有名であり、駅構内には安重根義士紀念館があった。残念ながら夜は閉まっていて入れなかった。先述の通りハルビン駅は2017年に改装したが、あわせてこちらも新装され残っているらしい。

 

国鉄道2126/2123列車・チチハル発丹東行き普快に乗り込む。利用したのは硬臥という3段開放寝台である。同行者の中には寝台列車が初めてという人もおり、なかなか楽しんでいたようである。当然私も寝台列車は楽しい。

ハルビンを20:11に発車し、列車はしばらく夜の大地を走る。途中の長春駅からも同行者が合流してきた。眠りに入り、深夜に目が覚めると瀋陽駅に停車していた。どうやら多くの乗客はここで降りたらしい。外が明るくなり目が覚めると丹東にほど近い場所を走っていた。

 

時間通り08:15に終点の丹東に到着した。いよいよ朝鮮旅行の始まりである。

 

つづく。