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twinrailの海外鉄道旅行記録

旧型の寝台列車と高速列車を乗り継ぎ西安に向かう 中国横断巡検 06-05

2014年当時、中国にはエアコンがない旧型客車の寝台列車が残っていた。

レトロな夜行列車と、最新の高速鉄道を乗り継いで西安に向かった。

訪問日: 2014年3月5日

旧型客車の寝台列車で嘉峪関から宝鶏へ

ホテルの窓から朝を迎えた。

 

ホテルをチェックアウトして、嘉峪関駅へ向かう。駅舎に地方都市の雰囲気を感じる。

 

駅の中も昔の中国の雰囲気が残っている。

 

今回は快速K1662列車に乗車する。嘉峪関を09:54に出発し、終点の宝鶏には20時間後に到着する。列車は遥か彼方、新疆ウイグル自治区のアクスからやってきたらしい。

 

25B型客車の硬臥車に乗車する。

 

25B型客車はエアコンがない「普通客車」と呼ばれる車両であり、いわば中国の旧型客車である。扇風機と石炭暖房が設置されていて窓が開くのが特徴である。これに対して新型の客車は「新空調客車」と呼ばれており、エアコンが設置されていて窓は開かない。

2014年当時はこのような旧型客車の寝台車両が残っていた。2023年現在も座席車では残っているが、寝台車両はほぼ消滅した気がする。残っていたら教えてほしい。

 

武威駅に停車する。各車両のドアの前に車掌がズラリと並んでいる様子は、中国の鉄道らしい光景の一つである。

寝台列車の旅は楽しい。砂漠を眺めて、昼寝して、ご飯を食べて……を繰り返しているとあっという間に時間が経ってしまう。

 

蘭州に着く頃にはすっかり夜になっていた。

 

蘭州を過ぎると寝台車の客は急に減った。静かな寝台車の中に線路の音が響く。いつか乗った日本のブルートレインのような懐かしい気分がする。

ちなみに中国のほとんどの列車は給湯器があるのだが、旧型客車は石炭ボイラーで沸かしたお湯をポットに入れて各座席の下に置く方式になっている。これはこれでサービスがいいのだが、ぬるくなるとカップ麺が作れなくて困る。こればかりは新型客車のほうがいいなあと思う。

 

翌朝05:49、終点の宝鶏に到着した。

 

もやのかかる暗闇の中に赤い文字だけが輝いて、ブレードランナーの世界に入ったようだった。駅は早朝のまだ暗いうちから賑わっている。牛肉麺屋が開いていたのでそこで朝食を食べた。

 

高速列車に乗り遅れる

西安はここからまだ東に180kmほど行ったところにあるため、列車を乗り換えないといけない。宝鶏駅から15kmほど離れた場所に高速鉄道の宝鶏南駅があるので、路線バスで向かうことにした。次の列車は8時ごろ発でまだ1時間以上あるので十分余裕だと思ってた。。

しかし、この路線バスがどうにも遅い。法定速度を遵守しているのか?と思っていたが、坂道にかかるともうエンジンが止まるんじゃないかというほど遅くなり、単に非力なだけなようだ。まさか15kmの道のりに1時間近く掛かるとは思わなかった。

ようやく発車5分前に宝鶏南駅に着いた。だが、中国の駅はここからが長い。きっぷを買い、安全検査を受け、改札口に向かったころには、もう改札は締め切られていた。

困ったことに、次の列車は2時間後だった。今でこそ蘭州~宝鶏~西安高速鉄道が全て開通して、宝鶏~西安は最短10分おきに高速列車が走るメインルートになっている。しかし、2014年当時は蘭州~宝鶏が開業しておらず、宝鶏~西安高速鉄道は2時間おきにしか走らない「ローカル新幹線」だったのである。

 

高速列車で宝鶏から西安

ともかく、2時間待ちぼうけになってしまった。宝鶏南駅は新しくできた高速鉄道の駅であるから、駅の周りには何もない。

 

ただひたすら殺風景な待合室をぶらつくしかなかった。

 

2時間後、ようやく列車がやってきた。D4906列車、西安北行きである。CRH2型高速列車が、見ての通り日本のE2系新幹線の中国バージョンである。

 

列車は10:00に宝鶏南を出発した。車内はさほどE2系に似ていないが、座席など随所に日本らしさを感じる要素が残っている。

 

およそ1時間後、西安北駅に到着した。中国各地から高速列車が到着する巨大なターミナル駅である。

 

地下鉄で西安中心部へ

西安地下鉄2号線で市の中心部へ向かう。

 

2号線の列車は座席がプラスチックという、日本の列車ではほぼ見ないタイプである。

 

市街地の小寨駅で下車する。本日の宿は陝西師範大学の学生寮である。

 

西安南駅を訪れる

旅行リーダーの何玏の実家に近い場所にある西安南駅を訪れた。

 


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西安中心部から25km、農村の中にある何の変哲もないローカル駅なのだが、実は大きな罠がある。

南方にある安康方面から来た列車は、路線の形状の都合上、西安駅を通らずに西安南駅にしか停車しない場合がある。そのため、検索アプリで目的地に「西安」を指定するとこの駅で降りる経路が表示されてしまうのである。

何も知らずにこの駅で降りると、バスもタクシーもマトモになく、夜になれば途方に暮れることは間違いない。

 

一応路線バスはあるのだが、車体についた泥の量がいかに田舎であるかを物語っているようだった。

 

つづく。