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twinrailの海外鉄道旅行記録

旧型客車の夜行列車で中国最北の終着駅・古蓮に行く 中国東北巡検 08-01

中国最北端の駅は、北京から高速列車と夜行列車を乗り継いで40時間かかる地の果てだった。

中国の北の大地を駆け抜けた記録。

訪問日: 2014年8月7日

飛行機で東京から北京に行く

前回の記事でも登場した中国鉄道時刻研究会の何玏から、また邪悪な旅行に誘われた。中国の東北・満洲の大地のローカル鉄道に乗りまくるという行程らしい。他にもう2人同行することになったが、うち1人は鉄道マニアですらない。本当に大丈夫だろうか?

旅行は成田空港からスタートする。日本航空のJL863便に搭乗する。

成田空港を10:45に離陸する。

北京空港第3ターミナルに13:50に着陸した。北京地下鉄首都機場線に乗り、市内を目指す。首都機場線の第3ターミナル駅は高架駅で、とても明るくて気持ちいい。地下鉄にも手荷物検査があるのが中国の地下鉄である。

首都機場線の列車に乗る。車体がカッコいい。

地下鉄を乗り継ぎ、北京南駅に来た。ここは北京の高速列車のターミナルである。

高速列車で北京から瀋陽に行く

北京南駅は新しいターミナルなので、とにかくキレイで明るい。吉野家もあった。

待合室も広くて快適だが、それ以上に人が多かった。ちょうど中国も夏休みシーズンである。

京津城際線の城際C2279列車、塘沽行きに乗車する。

車両はCRH3型「和諧号」だった。北京南駅を16:45に出発する。

30分ほど走り、天津駅に17:20に到着した。ここですぐに乗り換える。

津秦高速・京哈線の高速G1225列車、瀋陽北行に乗る。天津駅は17:36発なので、中国での乗り換え時間としてはかなりギリギリだった。

ここからの道のりは長かった。天津から瀋陽まではおよそ700kmほどだが、高速鉄道といいつつ大半の区間は在来線の改良区間なので200km/h程度しか出ない。列車も満員で、なかなかに遠く感じた。

5時間ほど乗車し、瀋陽北駅に22:12に到着した。

寝台列車瀋陽からチチハルに行く

京哈・平斉線の快速K549列車、チチハル行きに乗り換える。瀋陽北駅を22:32に出発するので、こちらも中国での乗り換えとしては相当に短かった。

DF4Dディーゼル機関車が牽引する寝台列車である。

翌朝、目覚めると列車は満洲黒竜江の大地を走っていた。草原が広がり、牛が草を食んでいるのどかな光景が広がっていた。

08:16に終点のチチハル駅に到着した。


ハルビンに次ぐ黒竜江省第2の都市であり、100万都市としては中国最北にあたる。しかし、駅舎は一昔前の中国の雰囲気を色濃く残していた。(この駅舎も1年後の2015年に建て替えられたようである。)

夏休み真っ盛りの黒竜江省はさながら日本でいえば北海道である。チチハル駅も大混雑していた。

最北のローカル列車でチチハルから古蓮に向かう

いよいよ中国最北の終着駅に向かう列車に乗る。斉北・富西線の6245列車、古蓮行きである。種別は「普客」といい、日本でいえば普通列車に該当する。チチハル駅を11:17に出発する。

跨線橋から列車を望む。乗車するのは右側の列車で、「緑皮車」と呼ばれるエアコンのない緑色の旧型客車である。

ホームに降りる。左側が目的の6245列車古蓮行きで、さらに右側に臥牛河発の6256列車が到着している。緑皮車が並んでいた。

旧型客車なのでエアコンはない。代わりに扇風機が設置されていて、窓が開くようになっている。走り出せば風が吹き込むので意外と快適である。

中国のローカル線の旅はつらい(混んでいる場合は)

……と言ったが、なんとこの列車、終点まで22時間もかかる。その間ほぼ各駅に停車していくため、中国でも最も停車駅の多い列車である。正に「キング・オブ・普通列車」といえよう。

しかも寝台車(硬臥)は1両だけしか連結されておらず、その他の車両はすべて座席車(硬座)しかない。夏休みシーズンの寝台車は争奪戦となり、みごと競争に敗れた我々は、22時間座りっぱなしという壮絶な旅行になってしまった。

正直、どうやって過ごしていたかあまり覚えていない。4人で喋り、カップ麺を食べ、うたた寝する……ということをひたすら繰り返していた気がする。写真も全然残っていないし、ただただ耐えていたのだと思う。

しかし、この列車、混雑したまま全く空く気配がない。チチハルを出てから10時間後、21時ごろに最後の主要駅・ジャグダチでようやく人が降りたと思った。しかし、ここからもたくさんの人が乗ってきて、座席はほぼ満席になった。ほぼ直角の椅子で夜明かししないといけないのかと絶望した。

だが、夜中に停車するたびにポツリポツリと人は降りていき、次第に3人がけの席に横になれるぐらいには空いていった。

とはいえあまり眠れず、4時ぐらいには起きてしまった。大海原のように広がる黒竜江の森の中に霧がかかっていた。

暇を持て余していたら、夜通し仕事をしている列車員が話しかけてきてくれた。「日本人ですか?」「どうしてこんな列車に乗っているんですか?」と色々と質問を投げかけられた。どうしてこんな列車に乗っているのか、それは私もよくわからない。

中国最北の終着駅・古蓮に到達する

9時頃、漠河駅に到着し、ほとんどの乗客が降りた。ここが市としては中国最北になり、駅としても純粋に中国の鉄道の最北端になる。

だが、この駅は途中駅で、線路は再び南へ向かう。終点の古蓮はこの次の駅である。

 

09:10、チチハルから22時間を経て、中国最北の終着駅・古蓮に到着した。

だがもっと正確にいえば、線路は次の月牙湖まで延びている。だが、旅客列車としてはここが終点になる。

古蓮駅は最北の終着駅としてひなびた雰囲気を出し……と書きたかったが、ちょうど外壁の工事中であり、作業員で結構賑わっていた。だいたいこんなもんである。

とはいえ古蓮の街には本当に何もなかった。おそらくは林業の街であろうが、産業自体が縮小傾向で、街に元気がないという表現がしっくりくるような雰囲気だった。

さて、ここから近くの都市・漠河まで戻りたい。列車は一日1往復しかないのだが、路線バスが走っていたので、それに乗って漠河に来た。

いよいよ、ここから本当の中国最北端を目指す。

つづく。