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twinrailの海外鉄道旅行記録

中国最北端・北極村と最北の休止線・林碧線を訪ねる 中国東北巡検 08-02

中国の北の果ては、森林の大海原だった。

中国の最北端に位置する観光地・北極村と、(おそらく)中国最北の休止線・林碧線を歩いたときの話。

訪問日: 2014年8月9日

漠河から中国最北端・北極村を訪れる

中国最北の都市・黒竜江省の漠河から運転手と車をチャーターして、中国最北端にある「北極村」を目指すことにした。

漠河から北極村までは意外にも高規格な道路が開通している。しかし、あたり一面には森林以外の何もなく、道路脇に立つ巨大な看板ばかりが目立っていた。

私の黒竜江の印象は「森の海」である。緩やかにカーブした大地に、見渡す限り森林が広がっている光景は、地形が急な日本ではなかなか見られない。

注意喚起の看板もほとんどが「森林火災に用心!」と「スピード出しすぎ注意!」しかない。北海道を(面積のみならず様々な意味で)10倍にしたような場所である。

林業が主要産業だが近年はあまり振るわないという話からも、本当に「森」しかない大地だと強烈に印象づけられた。

中国最北端の地点は「北極村」として観光地化されている。

 


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省名のとおり黒竜江アムール川)を挟んで、対岸はすぐロシアという立地である。

ロシアの集落も見えるが、特に向こう側は観光地というわけではないらしい。船で国境を渡ることもできない。

「冬季は河川が凍結しますが、国境を越えないでください。自分の身で試さないように!」という注意喚起の看板が立っていた。

中国の最北端を示すモニュメントがあった。北緯53度なので、緯度だけでいえば実は欧州ならばベルリンなどとあまり大差ない。とはいえ、内陸部になるので、このあたりは冬季は-30度近くにもなるようである。

漠河から新林へ行く

北極村から漠河に戻ってきた。漠河駅はロシア風のパステルカラーの駅舎である。

富西線の快速K7042列車、ハルビン東行きに乗車する。

牽引機のDF4Dディーゼル機関車を連結する。

やはり夏休みシーズンということもあって、最北の駅もそれなりの乗客で賑わっていた。漠河を16:44に出発する。普通車(硬臥車)に座って、ゆっくりと過ごす。

夕飯の時間になったので食堂車に来た。ローカル列車でもきちんと食堂車が営業しているのが中国の鉄道のいいところだ。

定食を食べる。ローカル列車の食堂車でも町中の食堂と同レベルの食事が食べられるのはうれしい。

さて、元々は塔河という駅で降りてホテルに泊まる予定だったのだが、何玏が車内で知り合った中年夫婦と仲良くなり、急遽その人たちの家に泊まらせてもらうことになった。目指すは塔河からさらに先にある新林駅である。


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夜も遅くなり、22:32に新林駅に到着した。ローカル線のローカル駅であり、ここに降り立った日本人は初めてなのでないかというぐらいの場所だった。

民家の使っていない建物に泊まらせてもらい、風呂や台所も自由に使っていいという大盤振る舞いをさせてもらった。しかし、ここでシャワーからお湯が出ないことが判明する。大学生の男4人で、電気ケトルで沸かしたお湯でおそるおそる体を洗ったのは、今となってはいい思い出である。いや、普通にお湯は出たほうがうれしい……。

中国最北の廃線・林碧線を訪ねる

翌朝、ご夫婦に朝食をごちそうになった。その後、何玏の希望により、(たぶん)中国最北の休止線である「林碧線」の線路を歩くことにした。

林碧線は、富西線の林海駅から分岐して碧水駅を結ぶ115kmの盲腸線である。資料によれば、かつては旅客列車も貨物列車も走っていたのだが、インフラが老朽化したため2016年4月から運休になってしまった。ただ、訪問した2014年当時も、既に旅客列車は運休になっていた。

新林から運転手と車をチャーターして、林碧線の線路に沿って走っていった。

線路はまだ光っており、休止しているとは思えないようだった。

林碧線もやはり広大な森林の中を走る。自然環境は険しく、インフラが老朽化するのも無理はなさそうだった。

終点の碧水駅に到着した。


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駅に人気はない。

列車の時刻表が黒板に書かれていた。「下り6957列車が13:14に到着し、折り返し上り6958列車が13:54に出発する」と書いてある。

新林駅に戻ってきた。小さくて薄暗い、中国の典型的なローカル駅だった。

林海駅17:27発の普客6958列車チチハル行きに乗車する。 

日本でいう普通列車だが、夜を跨いで走るため、寝台車(硬臥)が連結されていた。

ここで一夜を明かし、チチハルへ向かう。

つづく。