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twinrailの海外鉄道旅行記録

中国の東北のローカル列車を2日間乗り継ぐ 中国東北巡検 08-03

中国の東北のローカル列車を、わけもわからないまま2日間乗り継いだときの話。

訪問日: 2014年8月11日

チチハルから旧型客車のローカル列車に乗る

朝07:04、夜行普客6958列車はチチハル駅に到着した。

向かいのホームには25DT型客車が停車していた。通常の機関車牽引ではなくプッシュプル牽引列車のために開発された客車である。かなり珍しい車種で、ここ以外で一度も見ることはなかった。

チチハル09:02発の平斉線普客6278列車列車、泰来行きに乗車する。


泰来というのはチチハルから100kmぐらい南にある小都市である。ローカル線の鈍行列車と言って差し支えないだろう。

DF4Dディーゼル機関車が牽引している。

客車は22型の硬座車、言わば「旧型客車」が連結されている。

扇風機が回り、窓から夏の風が吹き込んでくる。ローカル列車として100点の風情がある。

3時間ほど列車に乗り、12:10に終点の泰来駅に到着した。観光客が来ることはめったにないであろう、中国の地方の小さな駅である。

監獄鉄道を求めて満洲の大地を走る

泰来駅から泰来バスターミナルまで歩いてきた。周辺の鉄道がない町や村に向かうバスが多数発着している。

左側に止まっている坦途行きのバスに乗る。坦途は泰来からさらに50kmほど南にある町で、鉄道駅もあるのだが、ちょうどよい列車がないためバスで行くようだ。

……さて、なぜさっきから「泰来」や「坦途」と言ったやたらローカルな地名の話をしているのかについて説明する。

今日の行程は同行者である中国鉄道時刻研究会の何ろくが作成している。彼によると、「監獄専用鉄道の廃線跡」を見に行くのだという。私を含めた他の同行者3人はそれ以上の詳しい話を聞いていないし、未だになんなのかよくわかっていない。マニアが作ったマニアックな旅程に、わけもわからないまま付いていくだけの旅行が始まった。

坦途の街に着くと、どこからともなく何ろくが白タクを呼んできた。どこに行くのかもわからないまま、車は満洲の大地を疾走する。

しばらくして、「吉林省監獄管理局鎮賚分局」と書いてある門をくぐった。どういうことなのだろうか。


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ここは「四方坨子」という街である。話によると、ここは街全体が監獄とその付随施設によって成り立っているのだという。とはいえ、網走のように観光地化されているわけでは全くない。

まずは監獄鉄道の名残りが残る廃墟に向かった。一見普通の建物だが、中国鉄道のロゴが入っている。とはいえ、これがなければ鉄道関係の施設だとはとてもわからない。

その他にも何ろくは白タクの運転士にいろいろと指示をして廃線跡を巡っていたが、実のところ線路が残っているわけでもなく、正直何を見たのかもあまり覚えていない。写真もどこを撮っていいのかもわからず、あまり残っていない。

ただ一つ覚えているのは、どこまでも平原が続く満洲の大地が、あまりにも広すぎたことだけである。異国の田舎を(私にとっては)どこに行くのかも分からずあてもなく走り続ける経験は、今後もあまりすることはないだろう。

白タクの旅は、坦途からさらに50kmほど南にある鎮賚駅で終わりになった。

鎮賚駅21:06発の平斉線普快1052列車に乗り、50kmほど南に進み、21:33に白城駅で降りた。今日はこの街で宿泊する。

大安北蒸気機関車陳列館の訪問に失敗する

白城のホテルで朝を迎えた。ここは吉林省の地方都市である。ローカル線の乗り継ぎ旅をしなければ、一生訪れることもない場所であろう。

長白線の快速K7310列車長春行きに乗る。白城を07:18に発車する。この列車は中国では珍しい2階建て車両が連結されている。しかもその中でも軟座車(グリーン車)はさらに珍しい。

2階建て車両の乗車口はこのようになっている。

軟座車は2列+2列の向かい合せのボックスシートになっている。リクライニングはしないし、日本のグリーン車に比べると機能的とは言えないが、ホテルのロビーのような豪華さを感じる。

大安北駅に08:38に到着した。ここも中国の地方都市としてはやや主要といったポジションになるのだろう。


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駅から歩いて「大安北蒸気機関車陳列館」に来た。車両基地に併設された巨大な蒸気機関車博物館があるのだという。

しかし、何ろくが車両基地の職員に話を聞くと、なんと一般には開放していないのだという。わざわざ大安という小さな町まで来た意味が一瞬にしてなくなってしまった。

7時間の立席乗車に耐える

しかたがないので、次の目的地である瀋陽に向かって、瀋陽で一泊することにした。ちなみに、元の計画だと大安北を22時に出発する寝台列車に乗って、翌朝瀋陽に到着する予定だったらしい。いくら蒸気機関車博物館があるとはいえ、この小さな町で14時間も何をする予定だったのだろうか。

特快T310列車に乗車する。先ほど「中国では珍しい2階建て車両」と書いたが、再び2階建て車両が来た。この地域では多いのだろうか。

元々この区間寝台列車に乗るはずだったので、瀋陽までは7時間にも及ぶ長丁場になる。残念なことに、急遽きっぷを買ったため、座席が取れず立席になってしまった。

2階建て車両のメリットとしては、座席がなくても階段に座れるということがある。とはいえ、これで7時間はかなりしんどい。駅から離れるとスマホの電波も通じない。ひたすらボーっとしたり、近くの人と雑談をしたりして、なんとかやりすごした。

大安北を11:08に出て、瀋陽に17:41に到着した。長い旅路だった。

SS9型電気機関車が牽引していた。

瀋陽駅のルーツは旧南満洲鉄道の奉天駅にさかのぼる。東京駅の設計者である辰野金吾の学生であった太田毅と吉田宗太郎が設計したということで、かなり雰囲気が近い。

つづく。