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twinrailの海外鉄道旅行記録

200両の貨物列車が10分おきに走る大秦線を撮影する 中国横断巡検 06-01

中国に「大秦線」という鉄道路線がある。200両以上連結した石炭貨物列車がおよそ10分おきに走るという中国の大動脈だ。

ド迫力の貨物列車を撮影しに行った。

訪問日: 2014年2月27日

国鉄道時刻研究会のはじまり

いきなり自己紹介になるが、私twinrailは『中国鉄道時刻研究会』という中国の鉄道時刻表を作るサークルを創設している。

ことの始まりはこうである。2013年、当時大学2年生だった私は、同じ大学に通う何玏という中国人の鉄道マニアと出会った。

知り合って何度か中国の鉄道の話を聞くうちに「中国にも鉄道時刻表があるが、ものすごく読みづらい。日本の時刻表のようなものがほしい。」という話になった。それならば我々で日本式の中国時刻表を作ってしまおう、ということになったが、いかんせん私は中国に一度も行ったことがなく、中国の鉄道のイメージがまったくない。

そこで「研修旅行」と称して中国の鉄道に乗りに行くことにした。これが今回の旅行の発端である。

 

大韓航空で東京から北京へ

何玏は先に中国に行っているということで、単身で北京入りすることになった。

 

大韓航空のKE704便に搭乗する。

 

機種はA330-300、機体番号はHL7585だ。成田空港を13:55に離陸し、ソウルの仁川空港に16:55に着陸する。

 

仁川空港で、同じく大韓航空のKE853便に乗り換える。仁川空港を19:00に出発する。

北京首都空港には20:15に到着し、ここで何玏が合流した。

 

北京地下鉄首都機場線に乗る

北京地下鉄首都空港線で空港から出る。

 

改札機があまりに見慣れたものすぎて、日本の駅に戻ってきたかと思った。首都空港線にはオムロンの改札機が導入されているようだ。

 

首都空港線の車内。地下鉄だがクロスシートである。

 

東直門駅で2号線に乗り換える。2023年現在は首都空港線の終点は北新橋駅だが、2014年当時はここが終点だった。

 

2号線のDKZ16系車両。

 

ちなみに中国の地下鉄は必ずX線による手荷物検査があるが、空港ほど厳しくはない。

 

西直門駅で4号線に乗り換え、人民大学駅で降りる。今日の宿はなんと人民大学の学生寮だった。

 

北京から新空調快速列車に乗って懐柔へ行く

翌朝、地下鉄に乗って北京駅に来た。中国の鉄道の中心であり、風格あるターミナル駅である。

 

北京駅のチケット窓口。殺風景だが照明はシャンデリアなのが豪華だ。中国の駅はチケット窓口の建物と、待合室・改札口の建物が分離されていることが多いのが特徴である。チケットは実名制であるため、買うときには身分証やパスポートを見せなければならない。

 

窓口の建物でチケットを購入後、待合室・改札口の建物に入るために並んで、身分証やパスポートとチケットを見せてからようやく中に入れるというしくみである。

 

北京駅の構内。中国の駅はなぜか暗い。

 

08:05発のK7711快速列車、承徳行きに乗る。

 

牽引機は東風(DF)4C型ディーゼル機関車である。

 

客車はYZ25G型の硬座車で、いわゆる普通車にあたる。中国の鉄道は一両ごとに車掌が立ってチケットをチェックするシステムになっている。

 

硬座車の車内の様子。2列+3列のボックスシートである。「新空調」と呼ばれるいわゆる新型の客車である。

 

ボックスシートにはテーブルがあるので食事もできる。ジュースとカップ麺を買った。中国の鉄道の車内には給湯器もあるのでカップ麺が食べられるのである。ちなみに金属のトレイはゴミ捨てに使ってよい。

 

1時間ほど列車に揺られて、北京から北東に50kmほど行ったところにある懐柔駅で降りた。東京から見ると茨城県の下妻あたりになる。未だに北京市内とはいえローカル感が漂い、北京とはほぼ別の街のような存在だ。

 

迫力あふれる大秦線の貨物列車を撮影する

懐柔駅から三輪タクシーに乗った。南へ5kmほど南下して大秦線の線路に近づいた。

※正確な場所は覚えていない。どうしても気になる方がいたらちゃんと調べるので連絡してください。


大きな地図を表示

 

改めて大秦線について説明する。大秦線は石炭の産地である山西省の大同から、渤海湾に面した積出港である河北省の秦皇島までのおよそ650kmを結ぶ貨物線である。

1992年に開業した新しい路線で、全線複線かつ電化であり、多数の高架とトンネルにより構成されている。いわば「石炭新幹線」とでもいうべき存在だ。

この路線の最大の特徴が、およそ200両以上にもわたる超長大編成の貨物列車である。一列車の積載量は20000tを越えるが、さらにその列車が10分から15分おきに運行しているのである。

その列車がこちらである。

 

遥か果てまで続くかのような貨物列車を、韶山(SS)4型電気機関車重連で牽引している。

 

逆方向から和諧(HXD)2型電気機関車が牽引する列車もやってくる。200両以上もあるので、通過には3分以上かかる。

 

この巨大な竜のような列車が、10分から15分おきにやってくる。通過に3分以上かかるので、実際に感じる間隔はもっと短い。上下を合わせれば5分おきぐらいにやってくるような感覚だ。

 

残念ながら動画で撮影していなかったので、YouTubeのドキュメンタリーを載せておく。

 

日本ではありえない長さの貨物列車が怒涛のように通過していく。中国の鉄道のあまりの迫力にすっかり圧倒されてしまった。

 

懐柔北駅から緑皮車で北京に戻る

撮影地からさらに10kmほど北上して、今度は懐柔北駅に向かった。

 

駅舎がボロすぎる。

 

駅構内もレトロ感にあふれていた。こんな寂れた駅でも真新しいX線検査機があるのも不思議に感じる。

 

反対の線路に、東風(DF)4B型ディーゼル機関車牽引の承徳方面の列車がやってきた。

 

我々が乗るのは、こちらの東風(DF)4C型ディーゼル機関車牽引の北京方面の列車である。

 

列車が停車する。客車もノスタルジックだが、YZ22B型硬座車「無空調」と呼ばれる、いわゆる旧型客車に相当する車両だ。緑色の塗装をしていることから、中国では「緑皮車」と呼ばれている。

 

列車番号は4474、承徳発、北京北行きの普通列車である。

 

車内の様子。行きに乗った新空調客車に比べると、座席はビニル張りだし、カーテンもない。何よりこの車両はエアコンではなく石炭で暖房をしている。

 

もっとも、こういった車両は数を減らしてきている。だが、そのレトロ感とレア度が中国でも鉄道マニアを惹きつけている。

 

1時間ほどして、北京北駅という、往路とはまた別のターミナル駅に到着した。オンボロな列車にはミスマッチな、モダンな建築の駅舎だ。

 

とにかくホームが大きく、広く、高い。日本にはないスケール感がいい。

 

頭端式のホームなのであるが、列車から出口までがひたすら遠い。機関車の機回しをするためと思われるが、空港のように果てしなく遠かった。

 

明日も北京の近郊を探索する。

つづく。