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twinrailの海外鉄道旅行記録

時刻表にない列車に乗って西安駅から兵馬俑に行く 中国横断巡検 06-06

中国・西安を代表する観光地・兵馬俑は、直行バスなどで行くのが一般的だった。(2014年当時)

だが「時刻表にない列車」に乗って行くルートが存在していたのだった。

訪問日: 2014年3月7日

西安市街から兵馬俑への行き方(2023年版)

兵馬俑 行き方」で検索してなんらかの過ちでこの記事に辿り着いてしまった人のために、最初に2023年現在の西安市街から兵馬俑への行き方を書いておく。

※このルートはネット上で確認したものであり、現地で確認したものではない。

 


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まず、西安地下鉄で東の郊外にある9号線の華清池(华清池)駅へ向かう。西安駅からだと1時間ほどで到着できる。

 


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華清池駅から遊613・602・遊5(306)・826系統の路線バスで、20分ほどで兵馬俑に行くことができる。

 

西安市街地から直行バスで行きたい場合は、西安駅から少し離れた三府湾客運站から国道経由914系統、または高速経由915系統の長距離バスが運行している。おおむね1時間から1時間半程度と思われるが、道路の混雑状況によって所要時間は変わる。

なお、西安地下鉄9号線および華清池駅は、2020年に開業した新しい路線と駅である。2014年当時はこの路線はなかったため、直行バスでアクセスするのが一般的だった。

直行バス914/915系統も、2014年当時は西安駅から発着していたが、駅改良工事のため発着場所が三府湾客運站に移転したようだ。ネット上で検索すると古い記事なども残っているので注意してほしい。

役に立つ話はここで終わりである。以下、役に立たない話を始める。

 

時刻表にない列車に乗って兵馬俑に行く

またしても旅行リーダーの何玏の提案で、全く一般的ではないルートで兵馬俑に行くことになった。

 

朝6時の西安駅に来た。夜の中国の駅はだいたいブレードランナーみたいな景色になる。

 

普通8352列車に乗車する。この列車、2014年当時はネット上の時刻表には掲載されていなかった。

 

いったいどんな列車なのだろうか。列車の行き先表示を見ると種別に「臨客」と書いてある。臨時旅客列車ということだ。

 

車内の時刻表を見えも「新豊鎮VI場」などの駅名が書いてある。つまり、この列車は西安の近郊にある新豊鎮操車場に鉄道職員を輸送する列車なのである。

 

06:30に西安駅を出発する。時刻表にも乗っていない超ローカル列車だし、しかも客車は中国でも珍しい2階建てである。

 

座席は他の硬座車と同じく2列+3列シートであった。

 

西安から1時間強乗車し、07:52に終点の渭南駅に到着した。

 

車両を外から眺める。車両は25B型客車だが、車種が双層硬座車(SYZ)という珍しい種別である。

 

和諧(HX)D3型電気機関車が牽引していた。おもしろいことに、1階建ての車両と2階建ての車両が交互に連結されている。おそらく、2階建て車両のドアが低床ホームにしか対応していないので、高床ホームでも乗り降りできるように1階建ての車両も混ぜて連結しているのだろう。

 

ホームの横を4重連電気機関車が通過していった。

 

折り返し、西安行きの8351列車に乗る。渭南を08:33に発車した。

 

今度は1階建ての車両を選んだ。木目調の座席に落ち着いた青色のカバーがかかっており、ちょっと洒落た座席になっている。

ちなみにこちらは鉄道職員ばかりというわけではなく、地元の住民も多く乗っている。

 

09:08に臨潼という駅に到着した。この駅も時刻表には書かれておらず、この職員輸送列車しか停車しない超ローカル駅である。まるで中国の時代劇に出てくるような建物だが、れっきとした鉄道駅である。

 


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一応、兵馬俑にもっとも近い駅であるのだが、10kmぐらい離れていて、アクセス駅としては全く機能していない。なんとか路線バスを見つけて兵馬俑に向かった。

「職員輸送列車に乗る」という完全に鉄道マニアしか喜ばない旅程だった。ふつうに兵馬俑に行きたい人は真似をしないほうがいいと思う。

 

臨潼駅が大出世した

……という鉄道マニアの奇行で話を終えようと思ったのだが、意外な後日談がある。

なんとこの臨潼駅、2021年に改装され、復興号(特急電車)が停まる駅にまで大出世したのである。

これに合わせて、遊613系統という路線バスが新たに作られ、臨潼駅から兵馬俑までも行けるようになった。

西安~臨潼の列車は1日9往復と少ないので、兵馬俑からの帰りに使うのはあまりオススメしない。だが、時間さえ合わせれば往路ならば一応使えるルートにはなっている。まさか鉄道マニアしか使わないようなルートが大々的にテコ入れされるようになるとは全く思わなかった。

ちなみに、8352/8351列車に関しては、時刻表には載るようになったが、途中停車駅は全くなくノンストップということになっている。実際に臨潼駅に停まるのかは不明である。

 

兵馬俑を見学する

兵馬俑への行き方だけで記事がほとんど終わってしまうが、ちゃんと兵馬俑も見学した。

 

東京ビッグサイトで開催されているコミックマーケットのようだ。中国の鉄道には詳しいが、中国の歴史には全く詳しくないので、こんな感想しか出てこない。

 

兵馬俑の解説はネット上にもいっぱい記事があるので、そちらを読んだほうがいいと思う。

とはいえ、ものすごく壮大な遺跡なので、歴史に詳しくなくても十分楽しめた。ぜひこのスケール感をその目で確かめてほしい。

ちなみにこの後は直行バスの914系統で西安に帰ってきた。

 

寝台列車のA寝台(軟臥車)で西安から北京へ行く

夜、西安を離れ、寝台列車で北京へ向かう。JRでいうA寝台に相当する軟臥車を利用することにした。軟臥車の利用者には専用のラウンジが用意されているらしい。

 

ということでラウンジに入ったが、ただベンチが置かれているだけだった。特段サービスもなく、単に一般客と場所を分けている以上の意味はないらしい。

 

19:00発の北京西行き特快T44列車に乗車する。中国鉄道には珍しく、英語の案内がある。やはり西安は外国人旅行客が多いことに対応しているのだろうか。

 

列車は韶山(SS)7E型電気機関車が牽引する。

 

こちらが軟臥車の室内である。硬臥車(JRでいうB寝台)が開放3段寝台であるのに対し、軟臥車は4人個室の2段寝台である。コンセントや車内誌、ポットなどもあり、とても快適だった。

 

布団もとてもふかふかしていて気持ちがいい。

 

各寝台が個室になっているので、車内は非常に静かだった。なお、4人個室であるが、3人以下で利用した場合、他人と相部屋になる可能性がある。

 

気持ちよく安眠し、翌朝08:29、北京西駅に到着した。

 

北京西駅は巨大で、かつ内部が空洞になっている変わった形の建物になっている。

 

今日は北京の鉄道博物館を見学する。

つづく。