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祖国解放戦争勝利記念館を見学しプエブロ号に乗る 朝鮮平壌開城巡検 01-10

祖国解放戦争勝利記念館は平壌市内にある軍事博物館であり、朝鮮戦争に関する展示が行われている。

この博物館の一番の目玉は、やはりアメリカ海軍の軍艦・プエブロ号の展示だと思う。

朝鮮戦争の歴史の簡単な解説と共に紹介する。

訪問日: 2016年3月10日

朝鮮戦争とは

朝鮮戦争の概要を簡単に説明する。

第二次世界大戦終結後、朝鮮半島には北に朝鮮民主主義人民共和国、南に大韓民国が建国された。

1950年6月25日、朝鮮側から砲撃が行われ、戦闘が開始された。その後、韓国側にはアメリカ軍が参戦、朝鮮側には中国人民志願軍が参戦し、戦争は膠着する。

開戦からおよそ3年後の1953年7月27日、両国間で休戦協定が結ばれた。だが、現在も終結には至っておらず、両国間に大きな禍根を残している。

……という認識が国際的に広く認められている。だが、朝鮮ではこの認識について、大きく2つの点が異なっている。

1つめは、朝鮮では「戦争を開始したのは韓国側」という認識が公式な見解となっている。博物館では特にこの点を強調している。

2つめは、「朝鮮戦争の休戦」は「祖国解放戦争の勝利」とみなされており、金日成はその英雄と考えられている。

ここ祖国解放戦争勝利記念館(조국해방전쟁승리기념관)は、朝鮮戦争に関する展示を行うとともに、その英雄とされる金日成を称える施設でもある。

 

祖国解放戦争勝利記念館を見学する

……という点を踏まえた上で博物館を見学するととても興味深いのだが、残念なことに、この博物館は内部の撮影が一切禁止であった。

 

文章で内容を説明すると、この博物館は2013年にリニューアルしたばかりで、地上3階建ての非常に巨大な建物である。内部は近代的で展示も充実しており、どんなに急いで見ても1時間、じっくり見れば半日はかかるであろうボリュームがある。世界でもこの規模と質をもった軍事博物館はなかなかないであろう。

その代わり、屋外のエリアは写真を撮り放題である。基本的には朝鮮戦争時にアメリカ軍等から獲得した兵器が展示されている。

 

アメリカ軍のM24軽戦車。

 

アメリカ軍のH23ヘリコプター。

他にも多数の兵器が並べられている。軍事はあまり詳しくなので割愛させていただく。

 

プエブロ号事件とは

さて、こちらが屋外エリアに展示されているアメリカ軍の軍艦プエブロである。プエブロ号が平壌に来ることになった経緯である「プエブロ号事件」についても簡単に述べておこう。

1968年1月23日、日本海朝鮮半島元山沖で諜報活動を行っていたアメリカ海軍の軍艦プエブロ号が、領海侵犯を理由に朝鮮側から警告を受けた。同船は回避を図るも、攻撃を受け停止させられ、船体と乗組員は朝鮮に捕獲された。

その後、アメリカ側は諜報活動を行っていたことを公式に認め謝罪し、1968年12月に乗組員が釈放された。一方で、船体は元山から平壌に輸送され、祖国解放戦争勝利記念館で展示されることになった。

……というのが一連の流れである。

 

よほど朝鮮かアメリカ軍に関心がないと知らないような事件だと思われる。だが「アメリカ軍の軍艦が拿捕され、朝鮮に謝罪する事態となった」という点で、朝鮮側にとってもアメリカ側にとっても非常に重要な事件であったようだ。

 

プエブロ号の中に入る

プエブロ号の中に入る。普通の軍艦であるが、各所にプエブロ号事件にまつわる写真や資料などが展示されている。

 

機密資料や兵士のIDカードなども展示されている。

ちなみに博物館展示室でもプエブロ号船室でも「朝鮮戦争は誰が起こしたか?」「アメリカ帝国主義侵略者軍の武装情報収集艦プエブロ号」といった感じのガンギマったプロパガンダ動画を見せてくれる。ぜひ本物の反米宣伝を浴びに行ってほしい。

つづく。