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twinrailの海外鉄道旅行記録

復興号に乗って蘇澳の冷泉と礁渓の温泉に入りにいく 台湾半周巡検 04-05

台湾にも温泉がたくさんある。その中でも特に礁渓温泉は駅から近く、鉄道旅行で行くのにちょうどいい。

さらにその近くの蘇澳には温泉ではなく「冷泉」がある。2つとも入りに行ってみた。

訪問日: 2013年9月21日

台湾一周が台湾半周になった話

話はいきなり変わるが、この巡検のタイトルは「台湾半周巡検」である。だが、なにも好きこのんで半周にしたわけではない。本当は一周するつもりだったのだが、不可抗力により半周になってしまったのである。

この5日間、台北→台中→日月潭阿里山→台南→高雄と台湾西海岸を南下してきた。このまま東海岸を北上すれば一周達成というわけである。なので、本来は今日中に高雄から東海岸花蓮まで行く予定だった。

だが9月21日早朝、台風「ウサギ」(台風19号)がバシー海峡を横断し、台湾南東部は激しい嵐に見舞われた。私が泊まっている高雄は、嵐はそれほどでもなかったが、それでもシトシトと雨が降っていた。

この台風の影響により、東海岸に回る鉄道(南廻線)は運休してしまった。いつ再開するかもわからないし、高雄に留まっていても台風でやることがない。台湾一周は断念して、来た道を引き返して花蓮まで行くことにした。

こうして、台湾一周巡検は台湾半周巡検になった。

台風から逃れて新幹線に乗る

そういうわけで、今日中に高雄から花蓮まで台湾を半周しなければならない。とはいえ、500km以上ある道のりである。きっぷはTR-PASSを所持していたが、台湾鉄道(在来線)に乗っていては今日中に花蓮に辿り着けないので、やむを得ず高速鉄道に乗ることにした。

 

地下鉄で左営駅に来た。高速鉄道はおおむね定時運行している。日本でも災害時に在来線は運休して新幹線は運行していることがあるが、台湾でも同様なのだなと思った。

高雄(左営)から台北まで1490台湾ドル(約6500円)であった。予想外の出費となってしまったが、日本の新幹線に比べれば十分安い。ついでに高鉄を全線乗車できるので、それはそれでよかったのかもしれない。

なお、TR-PASSは駅の窓口で申し出たところ、災害時の規定により期限を一日延長する取り扱いが受けられた。今後同じ目に遭った人がいたら試してみてほしい。

 

行き先のない列車を乗り継ぐ

台北に到着し、ここからは台湾鉄道(在来線)で花蓮に向かう。しかし、特急系(自強号、プユマ号、タロコ号)は台風の影響で軒並み運休していた。唯一、区間車(普通列車)だけは運行していたが、ダイヤは大幅に乱れているし、列車がいつ来るのか、どこに行くのかもわからない。

それでもとりあえず花蓮方面の区間車に乗ることにした。ただし列車の行き先はわからない。列車自体は空いていたが、今日中に辿り着けるかは不安なままだった。

 

乗っていた列車は、けっきょく羅東で終点になった。次の花蓮方面の列車をひたすら待ち続ける。しばらく待った後に花蓮行きと書かれた列車が来た。ようやく花蓮に辿り着ける見込みがついてホッとした。

 

夕暮れ時になって、ようやく花蓮に到着した。

今日の宿は「馨憶精緻民宿」である。日本人の旦那さんと台湾人の奥さんの夫婦が経営している民宿らしい。

 

夕食は近所に「液香扁食」というワンタンの名店に入った。メニューがワンタンのみというストイックな店だが、メチャメチャ美味しかった。

復興号に乗って蘇澳に行く

翌朝、花蓮の民宿を出る。駅まで送迎があると聞いて玄関に出たら、黄色いタクシーが停まっていた。奥さんが民宿経営だけでなくタクシー運転士も兼業しており、さらにその車で宿の送迎もしているらしい。

 

花蓮からの羅東行の東部幹線681列車に乗る。「復興」という、かつて「莒光」の下に存在した、指定席列車(對號列車)としては一番低い等級の種別である。この復興号も2022年3月のダイヤ改正で消滅してしまったようだ。

 

復興号客車は莒光号よりさらにレトロだった。花蓮を10:20に出発し、蘇澳新に11:35に到着予定だ。

それにしても異常に空いている。なんでこんな空気を運ぶような列車がわざわざ運行されているんだ?と思っていたが、しばらくしてその理由がわかった。

新城(タロコ渓谷の最寄り駅)から大量の団体客が乗ってきて、全部の座席が埋まったのである。TR-PASSを使っているため座席を指定できない私は、デッキに立つしかなかった。列車は満員まま走り続け、けっきょく蘇澳新まで空くことはなかった。このあとあの団体客はどこに行くのだろうか?

東部幹線の区間車4158列車に乗り換える。蘇澳新を11:40に出発し、蘇澳11:45に到着する。わずか5分だけの支線乗車だ。

 

蘇澳駅に到着した。

 

蘇澳の冷泉に入る

蘇澳の駅前すぐのところに蘇澳冷泉がある。温泉ではなく「冷泉」というのがポイントだ。水温は低いが、炭酸が含まれた炭酸カルシウム泉であり、成分的には立派な「温泉」である。昨今のサウナブームに逆張りし、「ぬる湯」を推している私としてはやはり入っておきたい。

 

蘇澳冷泉の露天風呂に来た。ほとんどプールみたいな大きさだ。広くてテンションが上がる。というか

 

水着に着替えて冷泉に入ろうとした。だが、足を浸けた瞬間、メチャクチャ冷たいことに気がついた。この冷泉、水温がなんと22度しかないらしい。勝手に「ぬる湯」を想像していたら、完全に水風呂みたいな温度だった。

さらに悪いことに、昨日の台風のせいで太陽が出ていないし、気温もそんなに高くない。これで夏の真っ盛りだったら22度でも気持ちよかったのだろうが、今日に限っては拷問のように冷たい。

周りの入浴客からも「一気に入れば冷たくないぞ」と煽られるが、それどころではない。頑張って粘ったが、最後まで心臓より上まで浸かることができずに終わった。

ちなみに泉質はたしかに炭酸泉で、シュワシュワとした刺激がおもしろかった。今度行くときは晴れた暑い日にしよう。

礁渓の温泉に入る

冷泉で体力を全部持っていかれたので、次は温泉に入りに行く。

 

蘇澳13:10発の東部幹線区間車4177列車に乗る。

 

礁渓(礁溪)駅に13:50に到着した。

 

礁渓も駅近に温泉がある。2005年にオープンした湯囲溝温泉公園(湯圍溝溫泉公園)は、足湯のほかにカフェやショップなどが立ち並ぶお洒落なスポットだ。

 

公園には湯囲風呂(湯圍風呂)という日帰り公共温泉施設がある。わざわざ「裸湯」と書いてあるのは、台湾には水着で入る温泉も多いからだ。こちらは日本と同じく、男女に別れて裸で入る温泉である。

雰囲気は日本の公共温泉施設とほぼ同じである。近年できた施設なので室内もモダンで新しい。蘇澳の冷泉と悪天候で冷え切った体が温まった。

 

風呂から上がって、台湾鉄道で台北に戻った。

初日に泊まったインキューブ(品格子旅店)に再びチェックインした。

つづく。