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twinrailの海外鉄道旅行記録

日本製の旧型客車が走る南廻線の普快車に乗る 台湾一周巡検 07-03

2020年12月22日、台湾の南廻線を走る最後の「普快車」が廃止された。

廃止前に乗車したときのことを書いておく。

訪問日: 2014年4月1日

普快車とは何か

「普快車」とは台湾の最下等の列車種別である。車両に冷房がないため、料金も最も安い。

かつては台湾各地で走っていたが、だんだんと数を減らし、終末期には南廻線でディーゼル機関車牽引の客車列車が枋寮~台東を一日1往復するだけであった。そして、2020年12月22日、南廻線の電化工事を機に最終運行を迎えた。

ただし、2021年10月23日からツアー列車「藍皮解憂号」として運行を再開している。旅行会社の企画商品であるが、毎日運行なので予約をすれば気軽に乗れるということである。

 

区間車で高雄から枋寮まで移動する

高雄のホステルを出て高雄駅に来た。こちらは高雄駅の旧駅舎である。

 

実際に使われているのはこちらの駅舎である。ただ、この駅舎も2018年には解体されて、さらに新しい駅舎になった。

 

高雄駅には台鉄本舗という鉄道グッズショップがあった。

 

西部幹線の区間車、枋寮行の3511列車に乗車する。当時はまだ全区間が電化されていなかったため、ディーゼル機関車が牽引している。

 

区間車自体はメインの目的ではないのだが、こちらもかなり味のある復興号の客車を使っている。高雄を08:34に出発した。

 

高雄を出るといよいよ車窓は南国感が出てくる。この沿線は養殖池が多かった。

 

2時間ほど走り、枋寮には10:36に到着した。 

 

しばらく時間に余裕があったので、付近を散策してみた。ホームから駅舎に入る。開放的な台鉄らしい駅の造りをしている。

 

駅の外に出て駅舎を見てみた。タイル張りの外壁をした建物である。

 

枋寮自体は小さめの地方都市であるが、駅前は結構賑わっている。

 

駅の中に戻ると、ちょうどDR3000型の自強号列車が通っていった。

 

区間車と自強号が並んでいる。

 

普快車に乗って枋寮から台東へ

普快車の入れ換え作業が始まった。

 

ホームに普快車が到着する。

 

今回の旅行の最大の目的である南廻線の普快車3671列車、台東行に乗車する。ディーゼル機関車牽引で、客車は3両編成である。

 

前からインド製客車が1両、日本製客車が2両連結されている。

 

インド製客車の車内の様子。車両の中ほどに両開きの自動ドアが2つついている。

 

こちらは日本製客車の車内の様子。車両の端に片開きの手動ドアが2つついている。インド製も日本製も窓が開閉でき、扇風機がついてる非冷房車である。

なお、プレート等がないため日本のどこで製造されたかは不明である。ネットで検索すると新潟鉄工所・富士重工・近畿車両・東急車両などが出てくるが、詳細は分からない。

 

最後尾は貫通路にドアがなくかなり開放的でよい。これで時速100km近くで走行するのだからかなりスリルがある。

 

枋寮を12:05に発車した。海を見ながら風を感じることができてメチャクチャ気持ちがいい。

南シナ海側の最後の駅である枋山を出発した。このあたりの駅のホームは無骨なコンクリートの屋根がついている。

 

車窓は海から山に変わっていく。

 

枋野信号場で一旦停止する。この駅を過ぎると列車はまもなく全長8kmの中央トンネルに突入する。

 

普快車は開放的で景色が見やすいのが特長だが、一番迫力があるのはトンネルの通過時である。車内の照明も暗いので、ほぼ闇の中をトンネル反響音の爆音に包まれながら高速で走行していく。最後尾は見ての通りドアがないので、立っていると吸い込まれそうな勢いだった。

 

8kmのトンネルを抜け、列車はフィリピン海側に来た。最初の駅である古荘駅に停車する。この駅は現在は旅客営業を止めて信号場になっているようだ。

 

フィリピン海の絶景を眺めながら列車は走っていく。

 

廃止された富山信号場を通過する。

 

現在は営業していない多良駅の改造工事が行われていた。2024年ごろに復活するらしい。

 

廃駅になっている香蘭駅を通過する。南廻線は廃止された駅が結構残っている。

 

2時間ほど乗車して、14:19に台東駅に到着した。

 

普快車は風を感じながら絶景を楽しめる最高の列車だった。2023年現在も「藍皮解憂号」として運転しているので、まだ乗車するチャンスはある。台湾に行ったら一度は乗っておくべきおすすめの列車である。

 

つづく。