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twinrailの海外鉄道旅行記録

阿里山森林鉄道に乗って台湾最高所の駅を目指す 台湾半周巡検 04-03

日本最高所の鉄道駅は富山県にある立山黒部アルペンルートの室堂駅であり、海抜は2450mである。だがこれはトロリーバスの駅であり、普通の鉄道ではない。

台湾には普通の鉄道で室堂駅よりも高い場所にある駅がある。その台湾最高所の駅を目指して阿里山森林鉄道に乗ってきた。

訪問日: 2013年9月18日

日月潭から嘉義

朝、日月潭のホテルを出る。南投客運の6661系統のバスに乗って水里駅で降りる。

 

10:19発、集集線の区快車2708便に乗る。車両はDRC1000系である。

 

西部幹線と合流する駅である二水で降りる。時間は11:02だ。

 

二水駅前には台湾鉄道の蒸気機関車CT278号機が展示されていた。

 

11:32発の莒光号507列車に乗る。

 

莒光号は日本でいえば急行列車に相当する。車内はレトロだが座席はリクライニングシートである。座席は指定できないが、学生版TR-PASSでも乗車できるのでお得だ。

嘉義駅に12:22に到着した。

 

嘉義駅で乗り換え時間があるので、嘉義北回帰線標誌(嘉義北回歸線標誌)を見学してきた。

 

ここに北回帰線(およそ北緯23.4度)が通っているわけである。夏至の日には太陽の南中高度が90度になる緯線である。

 

面している省道1号線にも北回帰線のアーチがかかっている。北緯23.5度と書いてあるが、何かの間違いかもしれない。

 

どうして阿里山と書かれたバスが阿里山に行かないのか

さて、嘉義駅に戻ってきた。嘉義から阿里山までは、本来ならば阿里山森林鉄道で行けるのだが、2013年当時は災害のため一部区間で運休していた。(2022年現在も運休が続いている。)

そのかわり、嘉義県公共汽車管理処(嘉義縣公共汽車管理處)の7322系統バスが鉄道に並行して運行している。ICカードでも乗れる普通の路線バスだが、嘉義駅前のバスターミナルでチケットを買うと座席を指定された。

ちなみに、この7322系統は嘉義からの最終バスが14:10発とやたら早い。阿里山に到着するのは2時間半後の16:40になるし、そこから折り返してまた嘉義に戻る運用であるためしかたないようだが。

 

発車時間になり「台湾好行 阿里山」と車体に大きくラッピングされたバスが入ってきた。指定された座席に座ると先客がいた。だが、声をかけたら「このバスは自由席ですよ」と言われた。不思議に思いながらも、まあそんなものかと思い別の席に座った。

バスが発車し、行き先案内などが流れる。だが、何かがおかしい。おそるおそる隣の乗客に聞いてみた。「このバス、阿里山行きですよね?」「違いますね……。」

 

乗り間違えた。

 

先ほども書いたとおり、このバスが阿里山行きの最終バスなのは把握していた。急いで運転士に駆け寄る。「すみません乗り間違えました、下ろしてください……」「だめですね……」

いよいよ詰んだかと思ったが、話を聞くとそうではなかった。「どちらに行きます?」「阿里山です」「じゃあ次のバス停で降りて後続のバスに乗り換えてください。」

幸いなことに阿里山行きのバスと同じ方向に走っており、かつ先に出発していたらしい。次のバス停で降りて、5分ぐらい待ったら阿里山行きのバスが来た。車内はほぼ満員だったが、通路側に一席だけ空いていたのでそこに座った。なんとかリカバリーすることができてほっとした。

 

一つ解せないのは、どうして「台湾好行 阿里山」と車体に大きくラッピングされたバスが阿里山に行かないのだろうか。まあ単なる広告ラッピングと言われればそれまでなのだが、わざわざ阿里山行きのバスの横に停めないでほしいとも思う。ちなみに、本物の阿里山行きのバスは、ラッピングもなく緑一色だった。

なお、この件以降、海外旅行でバスに乗るときは運転手に必ず行き先を確認するようになった。

 

嘉義から阿里山

そんな顛末があり、ヘトヘトに疲れてしまったため、バスの写真も車窓風景の写真も一枚もない。思い出せる範囲で車窓風景を書いていく。

 

この阿里山行きのバスは、基本的に阿里山公路と呼ばれる省道18号線を走っていく。嘉義市内を抜けると平野の田舎道となり、日本の国道沿いとそんなに変わりない風景の中を走っていく。一つ違いがあるとすれば、ビンロウという噛みタバコのようなものを売る店のど派手な看板が目立つぐらいだろう。

触口(觸口)を過ぎたあたりから急に山道になる。とはいえ沿道に店や家は多く、人里離れている感じは全くない。お茶を売る店が多く、例えるなら静岡の山奥を走っているような気分である。

石棹を過ぎると、さらに山が深くなってくる。車窓からは絶景が眺められるが、同時に斜面が崩落している箇所も多く、工事箇所も多数存在していた。

数え切れないくらいのヘアピンカーブを越えて、嘉義から2時間半の山道の旅路を終えて16:40に阿里山に到着した。

 

阿里山駅周辺を見て回る

阿里山のメインは少し離れた祝山駅からのご来光である。それに合わせて列車が出ているため、下見も兼ねて阿里山駅に来た。

 

姉妹提携している黒部峡谷鉄道のポスターがあった。たしかに周辺環境の過酷さでいえばいい勝負なのだろうか?

 

ご来光に合わせた運転なので、日の出に合わせて毎日出発時間が違うのが特徴である。阿里山駅の出発時間(清晨開車時間)が04:50、日の出の時間(明天日出時間)が05:56、復路の最終列車(回程末班時間)が06:25というわけである。

 

ちょうど夕日が沈む時間になった。阿里山駅のデッキから雄大な夕日を眺めた。

 

阿里山駅の周辺は駐車場になっており、ショップやカフェが立ち並んでいる。

 

上の写真に見えたセブンイレブンは標高2170mで台湾最高所の店舗らしい。

 

この日は阿里山高峰飯店に宿泊した。

 

阿里山森林鉄道に乗って日の出を見る

朝04:30ごろ、阿里山駅に来た。既に多くの人が集まっている。

 

日の出に合わせた列車に乗車する。

 

しばらくして祝山駅に到着した。

 

祝山駅は標高2451mで台湾最高所の駅だ。冒頭に書いた立山黒部アルペンルートの室堂駅は標高2450mなので、それよりもわずかに高いところにある。

 

列車はディーゼル機関車牽引の客車である。軌間762mmのナローゲージなので、車体もかなり小さい。

 

機関車は日本車輌製である。

 

展望台に日の出を見に行く。東の空が赤くなってきた。

 

06:10頃、ご来光を迎えた。阿里山駅に書いてあった時間より遅いが、高山にあるので遅くなるのだろう。

 

日の出を見終え、再び列車で阿里山駅に戻った。

 

阿里山をハイキングする

ホテルで朝食を食べたあとは、阿里山をハイキングする。

 

先ほど乗車した阿里山駅~祝山駅の間には沼平駅がある。祝山駅まで行くのはご来光列車のみで、昼間は阿里山駅~沼平駅間をシャトル運行しているだけである。

 

普段あまり登山自体には興味がない私が珍しくハイキングをしているのは、単に阿里山の自然を楽しむためだけではない。

 

阿里山駅からは沼平駅・祝山駅方面の路線の他にもう一つ、神木駅に行く支線がある。神木駅から阿里山駅まで乗車し、無事阿里山森林鉄道の阿里山側のシャトル列車をすべて乗車することができた。

 

阿里山観光を終え、再び7322系統バスで2時間半山道を揺られ、嘉義に戻ってきた。

嘉義からは14:00発の西部幹線莒光号511列車に乗り、台南に14:57に到着した。

午後は台南観光である。

つづく。