今回の旅行では「朝鮮の民家が見たい」という要望をメンバーから受けていた。南浦から平壌から行く道中、ガイドから「農村の民家を見に行きますよ」と知らされた。
朝鮮の農村の民家、どのようなものなのだろうか?
訪問日: 2019年9月15日
金日成ゆかりの農村・青山里を見学する
平壌南浦高速道路(青年英雄道路)を南浦から平壌に行く途中、ICを降りる。
車窓から見えたハリウッドのような看板には「偉大な青山里精神・青山里方法万歳!」(위대한 청산리정신 청산리방법 만세!)と書かれていた。
ガイドに「ここは『青山原に豊年が来た』(청산벌에 풍년이 왔네)で歌われている場所ですか?」と尋ねたところ、そうだと返ってきた。
いわば朝鮮音楽マニアの「聖地巡礼」である。
1960年に金日成はこの青山里協同農場を"現地指導"し、ここで提唱した政策を『青山里方法』(청산리방법)として全国に広めた。いわば朝鮮のモデル農村というわけである。
金日成が青山里を"現地指導"したときに、村民と一緒に座って語りあったという逸話が伝わっている。
青山商店(청산상점)と書かれた店に入る。農村らしくそこら中の地面に籾が干してある。
店内はいかにも田舎の商店という雰囲気であった。ビスケットの量が多すぎる。
村内には幼稚園もあるので見学することになった。先生が指示すると、ものすごいキレと統率のある動きでダンスを披露してくれた。「外国人が来たときの社会主義国の子どもかよ」とツッコミたくなったが、今まさにそれをやっているのだった。
お遊戯が終わった後、子どもたちとふれあう時間があった。一緒に遊んでくれたのだが、朝鮮語で何を話しかけても答えてくれなかった。先生から「何を聞かれても喋らないように」と言われているのか、単に不審なオタクと話したくないのかはよく分からなかった。
青山里の民家を訪ねる
一軒のおうちにお邪魔する。
リビングの様子。もちろん異国感もあるが、それでも実家のような安心感がする。
家族写真が飾られていた。右下にはバッテリーも見える。時々停電するからであろう。
あまり使われていなさそうだが、日本製のタイガー魔法瓶の炊飯器もあった。
金日成・金正日・金正恩との集合写真も飾られていた。おそらくは村の名士のご家庭なのだろうか。
テレビの下には変圧器と思しきものも置いてある。
庭ではニワトリが飼われていた。
ちなみにこのように外国人観光客に見せる家を「模範家庭」(모범가정)と言うらしい。ガイド曰く、模範家庭に選ばれると常に家を片付けたり外壁を修理したりせねばならず、かなり面倒らしい。
今回見学したのはあくまで模範家庭である。朝鮮の農村の民家の中ではかなり生活水準が高い方であり、大半の家はもっと低い水準の生活をしていることも確かだと思われる。とはいえ、なかなか見ることのできない朝鮮の農村の暮らしぶりを垣間見られる大変貴重な機会であった。
アヒルの焼肉を食べる
再び平壌南浦高速道路を走り、平壌へ戻る。道路は凹凸が激しいが、異常に道幅が広い。
だが平壌が近づいてくると急に舗装がきれいになった。
平壌にもシェアサイクルが存在するのかと思った。だがおそらくは有人で貸し出すレンタサイクルだろうか?
車窓から見えた青年ホテル。
レストランにやってきた。店名かと思ったら「理髪館」と書いてあるだけだった。1階が理容室、2階がレストランである。
店内は李氏朝鮮時代風のオシャレな内装だった。
しかし店内で流れているBGMは『攻撃戦だ』(コンギョ)だった。全員で歌っていたらガイドから「なんでみんな歌えるんですか…?」と聞かれた。日本のインターネットで有名だからである。
今日の昼食はアヒル肉の鉄板焼きである。マンドゥも付いている。
美味い!!!最高!!!
昼食の後は平壌の地下鉄に乗る。
つづく。