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twinrailの海外鉄道旅行記録

北朝鮮・アリラン祭のマスゲームを見る 朝鮮平壌南浦巡検 02-15

アリラン祭(아리랑축제)は、平壌で夏に行われる祭典である。中でもマスゲームは日本のニュースなどでもよく取り上げられているため、見覚えがある方もいるだろう。

だがアリラン祭の内容はマスゲームだけではない。朝鮮の一流の演劇、体操、舞踊などが一度に見られる「総合芸術祭」なのである。

訪問日: 2019年9月15日

アリラン祭に入場する

アリラン祭が開催されるのは綾羅島5月1日競技場(릉라도5월1일경기장)である。このスタジアム、とにかく大きい。資料によっては10万人を収容できるとある。横浜が誇る横浜国際総合競技場日産スタジアム)の収容人数が7万人ということからも、その巨大さが分かるであろう。

 

ただし、周囲は暗い。噴水はライトアップされているが、迷子になってしまいそうな暗さである。

 

ガイドからチケットをもらった。3等席だがおよそ1万円ぐらいする。

 

観客席に入る。ガイドからは「twinrailさんの頼みなので一番いい席を確保しておきました!」と言われた。前回34人で訪朝した貢献度が評価されているようだ。

外国人専用席のような場所で、中国人の他にも欧米系の観光客が多かった。裏を返せば、朝鮮国際旅行社のガイドが一堂に会しているわけでもある。我々のガイドが「この人が3年前に34人で来た人ですよ」と紹介すると他のガイドから「あなたが噂の!」と挨拶された。しっかり旅行社の有名人になっているらしい。

ちなみに外国人以外の朝鮮人の観客は、平壌市民であったり地方から平壌に来た人たちであったりと色々らしい。いずれにせよ朝鮮国民にとっても一大娯楽なのである。

 

観客席の向かい側にマスゲームの演者が入る。これだけでも数万人いるのではないだろうか?

 

テスト映像が投影され、位置などが調整される。

 

練習用のマスゲームが始まった。書かれている文字は高校名を示していているらしい。演者もよく見るとかなり若い人が多いし、高校の課外活動的な扱いなのだろうか?

ちなみにアリラン祭は一年に一度というわけではなく、夏の数か月間ほぼ毎日行われるらしい。集客力もすごいが、演者の負担も相当に大きそうである。

 

アリラン祭、開始

朝鮮国旗が入場し、いよいよアリラン祭開始である。

 

国旗が壇上に上っていく。

 

国旗が掲揚され、国歌斉唱が始まる。これを見るためにはるばる平壌まで来たと言っても過言ではない。今年のテーマは「人民の国」(인민의 나라)である。

 

まずは"解放"の歴史の演劇である。今はもう朝鮮では使われていない漢字もこの頃には使われていたようだ。

 

朝鮮人民軍による瓦割りなどの演武が始まる。腹の上でコンクリートを叩き割る演目などもある。すごい。

 

後方でマスゲームも始まった。実物を見るととても見ごたえがある。

 

小学生ぐらいの子どもたちによる体操披露。メチャメチャすごいのだが、夏の間毎晩やらされるのはたまったもんじゃないなと思う。

 

中高生にぐらいの若者による体操披露。

 

一糸乱れぬ演技は本当にすごい。相当練習して大変だったろう。

 

マスゲームとコラボしながら最後の見せ場を迎えた。

 

ここからは朝鮮の伝統芸能の演目になる。

 

数百人もの奏者による伽耶琴の演奏。壮大すぎる演目である。

 

ステージとサーカス

アリラン祭の演目は大人数パフォーマンスだけではない。

 

ステージ上で少人数のダンスや演奏の披露などもある。朝鮮中央テレビのコンサート番組などにも出演している有名ダンサーやミュージシャンもいるようだ。

 

長鼓の演奏。

 

ダンス。

 

サーカスの演目もある。こちらは空中大車輪。

 

綱渡り。

 

マスゲームのフィナーレ

再びマスゲームに戻ってフィナーレを迎える。

 

朝鮮半島統一を表現した「我らは一つ」(우리는 하나)の場面。

 

2019年6月に習近平が訪朝し、中国との関係が深まっていた時期ということもあって、中国語のマスゲームも行われていた。

 

最後は「朝鮮よ 永遠無窮 万万歳!」(조선아 영원무궁 만만세!)でフィナーレを迎えた。

 

演者が一同に介して挨拶をする。

 

アリラン祭はマスゲームが有名だが、演劇・体操・舞踊などあらゆるパフォーマンスが一度に見られる最高のイベントだった。チケットは1万円ぐらいしたが、全くもって安いぐらいだと思う。

実のところ、アリラン祭は2013年に行われた後、しばらくの間中止が続いていた。2018年に復活し、今回2019年も開催されたが、新型コロナウイルスの影響で2020年以降は再び中止が続いている。この記事を書いている2023年3月時点では最後のアリラン祭ということになっている。

 

朝鮮最後の夜も終わり、いよいよ日本への帰国である。

つづく。