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twinrailの海外鉄道旅行記録

船で稚内からサハリン・コルサコフへ渡航する ロシアサハリン巡検 16-01

北海道の稚内からロシア・サハリンのコルサコフまで、2018年までは夏季限定で定期航路が運航していた。

往時の乗船レポートをお伝えする

訪問日: 2016年8月20日

北海道〜サハリン航路について

最初に、北海道〜サハリン航路の近年の概要について書いておく。

かつては日本のハートランドフェリーにより「アインス宗谷」号が稚内からコルサコフまで運行されていた。(流氷のため、当時から夏季限定航路であった。)しかし、2015年に同社は撤退する。

その代わりとして2016年から、稚内市第三セクター「北海道サハリン航路」とサハリン州の「サハリン海洋汽船(SASCO)」が共同で、シンガポールのチャーター船「ペンギン33」にて運航を開始した。しかし、こちらも残念ながら2018年に運航を終了している。以後、2023年現在に至るまで北海道とサハリンを結ぶ航路は復活していない。

……というわけで、私は運航が切り替わった2016年の初年に乗ってきた。

ウェブサイトはあるものの、乗船予約は代理店の北都観光の担当者にメールでExcelの申込書を送るという、大変単純なものであった。「国際航路」という大層なものではなく「自治体がやってるイベント」といった方が正確だろう。

おまけに、元々は8月19日に出港予定だったものの、前日になって台風の影響で1日遅れになるという電話がかかってきた。元々1日しか予定していなかったサハリン観光の時間がこれで0日になってしまった。トホホ。

24時間遅れで稚内港から出港する

そんなわけで、24時間遅れで稚内港国際旅客ターミナルにやってきた。

台風7号(チャンスー)の影響で遅延が発生したと書かれれている。ちなみに9年ぶりに北海道に上陸した台風であったらしい。タイミングが悪すぎる。

ターミナルはほとんど使われていないようで、閑散としていた。

チェックインカウンターにもほとんど人がいない。カウンターの係員や入国審査官の他に、稚内市の職員がおり、手続きなどをサポートしてくれた。本当に「自治体がやってるイベント」そのものである。

我々が乗る船「ペンギン33」は、これが国際航路なのかと思ってしまうほど小さい船だった。湾内の観光船にでも使われているような船である。

港湾の職員にサポートされながら乗船する。

船内はすべて座席であり、特に座敷席などはない。

出港時刻の30分前にチェックインが終わる。既に全員乗り込んでいるため、定刻09:00より早く08:30に出港した。

稚内の港が去っていく。サハリンまでは4時間30分の旅路である。

船の中で過ごす

さて、この「ペンギン33」だが、シンガポールからのチャーター船であり、船体だけでなく乗組員まではるばるシンガポールから来ている。見たところ東南アジア系(おそらくマレー系?)の人たちであった。

乗客は日本人が我々4人と他に1人、ロシアが十数名ほどであった。船員も同数ぐらいおり、乗客の数とそんなに変わらない。日本語とロシア語と(おそらく)マレー語が飛び交い、共通言語として英語で会話する、という奇妙な空間だった。

幸いにも船はあまり揺れなかったが、とにかく4時間半ヒマでしょうがない。フェリーのようにレストランや娯楽施設もなく、とにかく座って寝るかデッキに行くかしかない。しかも、晩夏の北海道だというのに、船内には東南アジアと同様にガンガンに冷房が効いている。かといって外も肌寒い。機関室の横が一番ちょうどいいという有様である。

そんなことを思っていたら、船員から毛布とペットボトルのお茶を手渡された。どうやら、船員たちは船内で「生活」しており、その物資の一部をおすそ分けしてくれたようである。ありがとうございます。

テレビとDVDデッキがあったので、何か上映したいねと言っていたら、同行者の一人がなぜか『ガールズアンドパンツァー』のDVDを持ってきていた (本当になんで持ってきていたんだ?)。船員に頼んで再生してもらったが、残念ながらリージョンコードが合わなかった。

代わりに船員たちが持っているDVDを上映してもらった。しかし、中身は『延坪海戦』(日本名: ノーザンリミットライン 南北海戦)という韓国の戦争映画だった。船が沈没する映画を船の中で流していいのだろうか。

コルサコフ港に入港する

稚内から4時間半、コルサコフに到着する。しかし、船は沖合で停泊して動かない。30分早く出発しても、ロシア側の入国準備が整っていないのである。

ようやく埠頭に接岸した。待機しているバスに乗って入国審査へ向かう。

埠頭から本土へ向かう。

コルサコフのフェリーターミナル。稚内港よりも小さかった。

コルサコフの街を歩く

コルサコフは、サハリンの州都ユジノサハリンスクの外港にあたる、小さな港街である。

とりとめのない、ごく普通のロシアの地方都市である。

ただ、時たまこのように日本統治時代の建築が残ったりしている。こちらはかつての北海道拓殖銀行大泊支店であるが、訪問時は閉鎖されているようだった。

ニッポンハムのトラックがいた。日本の中古車が走っているのは、コルサコフに限らず極東ロシア全般に言える。

路線バスは、主に韓国で使われていたヒュンダイなどの中古車が走っている。

街の中心部に出る。レーニン像が立っていた。

コルサコフの中心部の広場には小さな遊園地のようなものが設置されており、憩いの場になっている。

115番の小型路線バス(マルシュルートカ)に乗って、ユジノサハリンスクへ向かう。

つづく。