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twinrailの海外鉄道旅行記録

シベリア鉄道を全線横断する(5~7日目) ロシアシベリア巡検 12-04

シベリア鉄道の旅もいよいよ残り3分の1となった。

アジアからヨーロッパに入り、少しずつ都会になってくる。

訪問日: 2015年9月9日

シベリア鉄道5日目を迎える

9月9日08:45、ノボシビルスク駅に到着した。ロシア第3の都市であり、シベリア鉄道沿線ではモスクワに次ぐ大都市である。

先頭の機関車もまた付け変えられていた。

ノボシビルスク駅を発車すると、列車はすぐにオビ川を渡る。港湾が発達しており、日本人から見ると川というよりも海のようである。

バラビンスク駅(Барабинск)。

ロシアの鉄道は駅に長時間停まるごとに、どこからかインディーズの販売員がやってくる。この駅では毛皮を売っていたが、こんな暑い時期に売れるのだろうか。

駅のホームには蒸気機関車が展示されていた。

イシム駅(Ишим)。

24:12、チュメニ駅に停車する。

もう夜なのは早すぎないか、と思うかもしれない。だが、2日目は一日で20駅も停車していたのに、5日目はわずか5駅しか停車しないのである。

大都市の通勤電車には、郊外ではこまめに停まるが、都心部では多くの駅を通過するようなものがある。

それと同様に、このロシア号もシベリアという郊外からモスクワという大都市に向かう、長い長い通勤電車なのだろう。

シベリア鉄道6日目を走る

05:21、エカテリンブルク駅に停車する。

エカテリンブルク駅を出てしばらくすると、アジアとヨーロッパの境界を示すオベリスクが見える。

朝日が昇ってきた。

ヨーロッパに入っても、車窓は相変わらずこんな感じである。

あの国の車両を発見する

ペルミ駅に到着した。看板に日本の100系新幹線がいる。

駅で停車していたら、隣にロシア鉄道の塗装とは違う、緑色の車両が連結された列車がやってきた。

なんと、朝鮮民主主義人民共和国の国章を掲げて、「平壌←→モスクワ」と書かれた行き先表示をつけている。この列車は北朝鮮からやって来たのである。

実のところ、ウラジオストクからモスクワに向かう列車は、私が乗っている1列車「ロシア号」の他にもう一つ、99列車というものがある。ときおり、こうして平壌に直通する車両を連結しているようだった。

なお、99列車も長時間停車をしており、ホームでは朝鮮からの出稼ぎと思われる中年男性たちがタバコを吸いながらたむろしていた。私が物珍しそうに車両の写真を撮っていると、いきなりその中の一人から掴み掛かられた。

大声を出したら事なきを得たが、不用意な行動はあまりよくないものである。(この写真は99列車が出発後、反対側のホームから撮っている。)

ヨーロッパの大地を走る

ペルミを出ると、ボルガ川の支流であるカマ川を渡る。

バレジノ駅に停車する。

モスクワに近づくにつれて、貨物列車の量はますます増えてくる。シベリア鉄道がロシアのみならずユーラシアの物流の基幹であることがよくわかる。

機関車も再び付け変えられていた。

キーロフ駅に停車する。

ここで、シベリア鉄道の旅が大きな変化を迎える。モスクワまで残り1000kmを切ったのだ。

シベリア鉄道にはモスクワからの距離標が建っている。ウラジオストクから9288kmと書かれた距離標を数え続け、その途方もなさに気が遠くなりそうだった。それが、とうとう4桁から3桁になったのである。

日本で言えば1000kmというのは東京から福岡に匹敵するほど長い。それがシベリア鉄道で「あとちょっと」の距離になってしまうのだった。

23:08、6日目最後の停車駅、ニジニノブゴロド駅に到着した。ホームが高速電車に対応した高床式になり、少しずつ都会感が出てきた。

とうとうシベリア鉄道の旅も残り一晩を残すのみとなった。「あと7時間しかないし、今のうちに降りる支度するか」というセリフは、人生でもそうそう口にすることはないかもしれない。

7日目、モスクワに到着する

モスクワ時間2015年9月11日午前6時1分。

ウラジオストクから146時間9259kmの行程を終えて、ロシア鉄道1列車「ロシア号」は1分の遅れもなく、モスクワ・ヤロスラフスキー駅に到着した。

距離標はとうとう0kmになった。本当に長かった。

朝焼けのヤロスラフスキー駅を出る。

シベリア鉄道のターミナルにふさわしい美しい駅舎だと思う。

隣にはレニングラツキー駅が位置している。こちらも首都の玄関の雰囲気に満ちている。

車掌と記念写真を撮る

シベリア鉄道全線横断の旅は、本当に長かったが、人生で最も豊かな時間の一つでもあった。

何よりもお世話になったのは、この2人の車掌である。ウラジオストクから7日間、色々と面倒を見てくれた。

今もロシアのどこかで列車に乗り続けているのだろうか?

つづく。